今朝依頼を終えたばかりだぞ?
一人の探偵が向かったジャムムル村。
しかしその探偵は行方不明となる。
俺ことケレン・ラウロウと相棒のシャラ・リングスは、
馬を借りてジャムムル村に急行している。
「シャラ。依頼書の写があるから、しっかり見とけよ?」
「えー。ケレンの口から説明してよ」
「お前なぁ・・・」
ひとまず、馬に乗りながら依頼書を見る。
油断すると馬から落ちる。
最低でも1秒に1回は前を見ながら、依頼書の写しを読む。
「まず、依頼者の名前は『キリーグ』ジャムムル村で司祭をしているようだな」
「司祭かぁ。基本大人しそうな印象だけど、いろんな武器持ってるよね。
中には拷問が趣味な人とかいるって、お父さんに聞いた」
「このキリーグってかなり危ない奴だな。
依頼内容が『魔女の素性調査』だ。
司祭が『魔女』と決め付けている」
村の魔女を狩る為に、情報が欲しいって話しだろう。
「・・・ん?下に
『シャラ及び、ケレンの裁量にて依頼を遂行すること』
って書いてるな」
「どういうこと?」
「探偵が一人死んでるから、依頼主が犯人って可能性も考慮してるんだと思う・・・」
「・・・大丈夫?」
シャラが心配してくれる。
少し前からシャラが、俺を腫れ物のように扱う。
そんなに俺は頼りないだろうか?
確かにこの依頼を俺に任せたのは腹が立つな。
俺の妻は、依頼主によって殺されたのだから、
トラウマになっているかもしれない。
馬の上で依頼書を読むよう言ったのもこのためか?
移動しながらだと気が紛れるからかもしれない・・・。
いや、そういうことか。
「大丈夫だ。
敢えて俺にこの件を調査させるとすれば、今回の依頼はぶち壊していいのだろう」
「そっか・・・。そうだね!そもそも
『探偵の調査内容を基に事件へと発展させる場合は、依頼を拒否する』
って決まりだもんね」
「うむ」
そうでなければ、俺探偵やめるわ。・・・多分。
「それで、今回行方不明になった探偵ってギャレスおじさんだっけ?」
「既に聞いていたか。『ギャレス・マティス』って35歳の人だ」
「近所の人に聞いたの。武器収集家で、最近は銃をよく買ってたって」
依頼書と一緒に入っていた、
ギャレスのプロフィールにも同じような事が書かれている。
そういえば銀次さんも、自前の最新式リボルバーを持ち出したと言ってたな。
「今回は正確に言うと、銀次さんだけじゃなくて、
ザルインからの依頼ともなるな」
「確か、独立戦争をするよう煽られたんだっけ」
「ああ」
それにしても、ギャレスに相棒はいなかったようだな。
ギャレスの応援要員として、
ジャムムル村に向かうよう指示が書かれている。
そもそも探偵は皆、一定以上の能力を認められた、
自分で言うのもなんだが、謂わばエリートだ。
探偵が一人行方不明と言う状況は、
かなり異常な事態だ。
前回と違って、かなり難しい事件になりそうだ。
「怪しい村に、警戒すべき司祭と魔女か・・・
今回の事件は一切手を抜くなよ?」
「わかってるって」
俺とシャラは気合を入れて村に向かった。
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イタールアから約40km離れたジャムムル村に着いた俺たちは、
まず教会に向かった。
馬を走らせて2時間程度か。
距離の割に遠く感じるのは、山道が複雑だからであろう。
少し疲れてしまった。
「こんにちは。俺たちが補充の探偵です」
「やぁどうも。遠路はるばるお疲れ様です」
教会の戸を叩くと、司祭であるキリーグが出迎えてくれる。
少しでかいな、身長は190cm程度ありそうだ。
軽い挨拶を済ませる。
「申し訳ございません。
本日は祈りの日ですので、明日に再度お越しいただいてもよろしいですか?」
「そうですか。
しかし、馬を停める場所だけは今教えていただけますか?」
「ええ、構いませんとも」
ひとまず馬の置く場所を聞くと、
教会の馬小屋を使ってもいいことになった。
俺達は馬を繋いでから今後の方針を話し合う。
「意外と広い村だな」
「ニュージェー街の3分の1くらいかな?」
「多分その程度だと思う。
けど壁があるわけじゃない。
村の外にある森も、この村の一部と考えるべきだろう」
村の中で住む人達は、時に虫を食す。
料理は自分で用意すべきだろう。
カマイルに毒を盛られたばかりだし、尚更気をつける。
「食事は俺が準備するけどその前に、
行方不明になった探偵を探そう。
シャラは教会に潜入してくれるか?
3時間後の夕方に、馬小屋にて集合だ」
「ちぇ。今回名乗りタイムはなしかぁ。
・・・でもとりま、りょーかい!」
シャラは建物の屋根に跳び乗って、教会を監視に向かう。
さて、俺も移動するか。
まずは隠し部屋等の考えを無しにして、人を閉じ込め易そうな建物を探す。
今回注意すべき建物は教会と、魔女と噂が建つ女の家だ。
まず、村の大まかな地図を頭に叩き込む。
この村に建物は35件あった。
内15件は家で、村の北にある教会の周りに密集している。
南の方に倉庫が3つあるが、中に人がいない確認しよう。
それぞれ、周りに家が2件ずつある。
念のため周囲に人がいないことを確認する。
誰もいないな。
俺は、小さな窓枠から倉庫を見るための道具を取り出す。
最初に取り出すのは槍を作るときに、刀の柄と合わせる棒だ。
これは後で使うため、地面に置く。
次にL字の筒を取り出して、筒の先部分に対物レンズを付ける。
また筒の直角部分にも、鏡をはめ込む。
その筒と棒をつけて、反対側の先端に接眼レンズを付ける。
これで、倉庫の中を覗くことができる。
コーナーに置かれている鏡のような仕組みだ。
それを使って中を隈無く見てみるが・・・誰もいない。
3件全て調べたが、中には物だけだ。
食料や酒、食べ物だな。
人が隠れる場所もないだろう。
次は井戸を囲った祠だ。
ここも変わった様子はない。
井戸水を汲み上げて、ピューさんが作った瓶に入れる。
この瓶には密閉効果が有り、瓶内の物を劣化させにくくする。
しっかりと蓋を占めてポケットに入れた。
後でシャラに鑑定してもらおう。
残った建物は31件。いや、2件引くから29件か。
現在全く不審なことはない。
残った時間は2時間。
うーむ、29件ある家を全て訪ねたいが、
今日は祈りの日だということで、誰もいない。
・・・他に行くところもないししょうがない。
俺は、魔女の家に向かうことにした。
まだまだ夕方と言えるか怪しい時間なのに、
何故かとても暗く感じる道は、とても不気味に思えた。
事件の後編、投稿致します。
そして、カイザの日おめでとうございます!
戦う鎧ものは、明日投稿する予定です。




