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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
独立戦争未遂事件:前編
11/55

。(「これでエンドマークだぁ」ってやつ)

以上が今回の事件報告書だ。

俺にとっては、少し危険がある程度の事件だったが、

案外スケールはでかい事件だったな。


俺はポケットに入れている日記を取り出す。

銀次さんやデリューが、初めて妻と会ったことを、

唐突に思い出したくなったのだ。


日記のページをめくると、10年以上前の俺が、

文字の中で生きているように感じる。


------------------------------------------------------

俺は7年前まで、日華で道場の副師範をやっていた。

妻はその道場一の剣豪だった。


侍家系に生まれたあいつは、

俺と寺子屋が同じ幼馴染で、

気も合ったためか所帯を設けた。


とある日、俺たちの住む村に事件が起こった。

辻斬りだ。


犯人は、道場で3番手の男だった。

妻の腕前に嫉妬したせいで、

辻斬りをして腕を上げたかったそうだ。


俺も妻も、21歳になったばかりの時だな。

その事件は、

当時旅探偵をしていたシャラの父親であるデリューと、

彼の相棒である銀次さんによって解決された。


探偵二人が辻斬りに挑み、難なく犯人を取り押さえた。

俺の妻は、刀で戦う銀次さんの手腕を見てこう言った。


「あなた、刀の振りがなってないわ!」


と。


ここ3年で、ようやく一般に認知された探偵だが、

当時はまだまだ無名だった。

とはいえ、異国の探偵にケチをつけたのである。

そのケチを止めに入ろうとした俺は、妻に蹴っ飛ばされたなぁ。


「ほう。若造の割にしっかりした奴だ。

なれば、それがしと斬りおうてもらおう」


そう答えた銀次さんだったが、妻は凄腕の侍で、

男なら出世間違いなしの腕前だ。


実際、俺も道場の剣術では目録の腕前だったが、

妻に勝てたことは一度もない。


時速60キロ以上で振るわれる刀のぶつかり合い。

睨み合ってから、一瞬の攻防を繰り返す。


ボクサーの拳速が、平均およそ40キロと言えば、

その凄さが伝わるだろう。


結果、妻は銀次さんにも勝ったのだった。

剣の背や刃、腹まで使う戦いだった。


その後デリューにスカウトされた俺たちは、

探偵事務所の剣術顧問になった。


同時に俺たちも、探偵としての技術や心構えも学んで、

依頼もこなしていた。


2年前のある日、俺と妻がとある村を訪れて、依頼を完遂した。

とある女から受けた、浮気調査だった。

依頼自体は、調査対象が俺の妻にまで手を出そうとしたため、

簡単に証拠を掴んだ。


しかし、悲しみと嫉妬が入り混じった女は、

俺の妻を殺してしまった。


あいつは殺されるとき、一切の抵抗をしなかったそうだ。


あいつの死後、俺は生きる気力まで失った。

妻が死んで何もやる気が起きなかったのだ。


だが、俺は『探偵を辞める気力』すらなく、

事務仕事だけだが探偵を続けていた。


俺が探偵を続けていた理由は「なんとなく」

だったかもしれないし「責任感」

だったかもしれない。


自分にもよくわからないのだ。


そんな無気力の俺にデリューから、

娘であるシャラを世話するようにと頼まれた。


彼女は明るく、無気力だった俺にとっては

とても暖かい存在だった。


デリューが何故、俺にシャラの世話係をさせたのかはわからないが、

もしかすると、探偵になるよう彼女を誘った結末に後悔・・・

いや、後悔しないでほしいという願いを込めて、

シャラに俺を励ますよう言ったのかもしれないな。

本人には絶対聞けないが。


でもなんだろう、歳を重ねてきたのかな?

シャラの助手を勤めてから1年と半年か・・・

今の俺なら、探偵を続ける他の理由が見つかるかもしれない。


------------------------------------------------------

そう思いながら日記を閉じる。


・・・トレーニングはすでに終わっており、

探偵事務所の前に立ち、シャラを待つ。


懐かしい出来事を思い出してしまったなぁ。


「ごめーん!待ったぁ?」


シャラが走ってこちらに近づいてくる。


「かなり待ったぞ。

次の村は危険かもしれないとのことで、銃を預かった」

「えぇー!銃って五月蝿いし臭いからいらないー。

それにこれM1848じゃん!弾込めるの大変なのにー」


まったく・・・探偵事務所の射撃テストでは、

上位3名に入る凄腕だというのに・・・。


ともかく、今回の依頼は無事達成したことだし、

仕事道具と一緒に俺からのプレゼントもくれてやろう。


「そう言うなって。

ほら、黒色火薬と雷管とお前専用の耳あてだ」

「あ、これって・・・」

「前々から注文してた耳あてだ。

俺は詳しく知らないが、有名な店で今度出る新作らしい」

「私が欲しかった耳あてー!やったー!」


単純なやつめ。

だが、機嫌を直してくれたようで何よりだ。

銃も受け取ってくれた。


この銃、弾を一発込めるのに30秒程かかる、

なかなか面倒な銃なのだ。


アンヌリカの開拓地だと、

弾薬という画期的なシステムを使う銃があるが、

弾が高い。

結局はこういう銃を使わざる得ないのだ・・・


「さて、じゃあ馬を借りに行くぞ」

「はーい」


こうして準備を終えた俺たちは、ジャムムル村へと向かうのだった。






「・・・あ、でも今夏だよね?この耳あてって、販売が半年後からだよ?」

「・・・」


リンゴがあるんだから当たり前じゃん。


ちょっと用事があって、

誤字脱字修正は明日にします。

申し訳ない!


第一話は、事件の前編です。

後編はまたそのうち投稿致します。



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