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旅する探偵もの  作者: スーパー天邪鬼
独立戦争未遂事件:前編
1/55

一歩一歩と歩くこと

本日2018/9/2の朝10時から、とある番組が始まりましたね。

1.5話も観ましたが、続きが気になります・・・。

それに合わせて私も、作品を投稿致します!

楽しんでいただけると幸いです。

一歩。また一歩。そしてまた一歩。


朝の山道を歩いていく。

背負った荷物が歩を進めるたびに音を立てる。


俺は歩いている自分の音を聞くのが好きだ。

特に、変わらない景色に飽きた時の自分の音は楽しい。


自分の足音に動物の動く音。

鳥の鳴き声や、

腰に挿している刀と服が擦れる音。

旅の中には音が沢山溢れているのだ。


人は歩く力があるからこうして旅に出ることができる。

こうして一歩ずつ歩くことで、次の街に行ける。


「ねぇケレン・・・後どれくらいで次の街に着くのぉ?」


ケレンこと俺と一緒に旅をしている、

今年17歳の少女シャラが俺の後ろで愚痴を言う。


渋々リュックから地図とコンパスと呼ばれる磁石を取り出して計算するに


「あと3時間程度で着くと思うぞ。

 というか、日が出てからまだ2時間も経ってないんだぞ、

 この調子だと街に着くのは昼を超えそうだな」

「えー!でも私はお風呂に30分も入ってないんだよ?

 もっとゆっくりしたいよー」


まぁ昨日は、この大陸に着いてから約5日ぶりに池を見つけた日だ。

気持ちは分からなくないのだが・・・俺はもっとちゃんとした風呂に入りたい。


「次の街では依頼があるかもって話じゃないか。

 依頼があればお風呂だけじゃない。

 おいしいご飯があるかもしれないぞ?

 それに遠くを見たら、壁に囲まれた街が見えるだろ?

 着くのはもうすぐだ。だからほら、しっかり歩け」


そう言ってシャラのやる気を上げてやる。

7日にも及ぶ長旅がようやく終わるのだ。

もう少しだけ頑張ってもらわねば。


後ろから渋々「はーい」と言うシャラだが、

これでも俺の頼もしい相棒だ。

シャラが居る事で俺たちは最高の仕事ができる。

それが俺たち、探偵だからな。


 ------------------------------------------------------

昼飯時になってようやく街についた。

街の入口に入って正面の方を見ているが、

かなり遠くにも入口があるようだ。


先程遠くから見た感じだと、

3km以上離れていると思われる。


道も家もレンガで出来ている、

家の数が街の入口であるここから見ても20件ほども有り、

色素がほとんど薄茶色の街だ。


ここはニュージェーという街で、

地図によれば人口はおよそ500人程度らしい。


「なんだか犬が多いね。

 あ、でもリンゴの匂いがそこかしこから漂ってくるし、

 犬もあまり臭わないからかな、

 獣臭さが殆どないよ。

 清潔なわんちゃんランドって感じかな?」


シャラがこの街の感想を述べる。

確かに犬がたくさん居るな。

大きさは、50cm程度であろう。


まだこの街に来たばかりだが、

猫や鳥も見当たらない。


犬好きが多い街なのかもしれないな。

それからリンゴか。


匂いがするってことは近くの家では、

殆どリンゴを使った料理が作られているのだろう。


「ひとまず食事にするか?」

「うん。そうしよー!」


間髪入れずに答えるシャラなのであった。

腹減ってたんだな。


------------------------------------------------------

先ほどのやりとりから1時間程度してから、

食事が出来そうな店を見つけた俺たちは、

この街の郷土料理という「リンゴで獣炒め」を注文した。


大きめにカットして炒めた鶏肉に、

唐辛子などを使って辛い味付けをしてある。


リンゴはすりつぶされており、

ジャムにしてあるようだな。


この店の入口にも犬が2匹いる。

普段なら食事に毛が入ったりしてないか警戒するが、

そんな心配も必要無さそうだ。


因に、辛い肉と甘酸っぱいリンゴを、

交互に食べるのがこの街のルールらしい。


リンゴで獣炒めを食べ終わったシャラが、

余ったリンゴジャムを頬張っていると、

お店の店員がシャラに話しかけてくる。


この店には俺たち以外の客はいないようだし暇なんだろうな。


「お二人は旅の方ですか?」


とにこやかな表情の店員さん。

若くて人懐っこそうな人だ。

20代中ごろあたりの年齢層に思える・・・

身長は170cm程と、いかんいかん。いつもの癖で分析してしまった。


「うん。アンヌリカ国からイタールアに帰るために、こっちに来たの!」


シャラが明るくて大きい声で話す。


「アンヌリカって、開拓なんかをしている国かしら?」

「そうだよー」


とは言っても、俺たちは開拓民じゃない。


「私はこの店の主でカマイルと言います。

 失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいですか?

 西の人ってあまり見たことがなくて興味がありますので」


本当ににこやかだなぁ。

こっちもリラックスできるよ。


「いいよー。私は金色短髪の元気っ子!

シャラ・リングス!よろしくねっ!」

「シャラさんですか。なんだか気持ちいいお名前ですね」


元気いっぱいに答えるシャラ。

名前を褒められて「ありがとー」なんて言っている。


「俺はケレン・ラウロウ。

先に言っておくが、ガンマンみたいに銃は持ってないぞ」


ライフルは見るからに持ってないし

、体にホルスターも付けてない。


一目瞭然だとは思うが、

開拓民には銃を隠し持つ人も居たから、

一応こう言って安心させた。


「ケレンさんですね。ありがとうございます。

 お二人はどうしてこの街に?」


・・・こういうこと言われると・・・やっぱり。

シャラのやつ、目がキラキラしてる。

まぁ、俺も名乗るのは嫌いじゃない。

合わせるか。


「俺たちは・・・「私たちは」」

「「旅をしている探偵です」」


これはやっぱり、何度やっても恥ずかしい・・・。


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