天才の真実。
天才も、忘れたころにやって、来ーるー!
六年のとき、通信簿に、
「四捨五入を理解していない」
と書かれてしまった。
そして、中学の最初の通信簿には、
「アルファベットを覚えていません。大文字、小文字、両方覚えて下さい」
と。
つまりはアホだったのだ。僕自身も自分のことをアホだと思っていた。
ところが中二の二学期、図形の証明の面白さを知って勉強に興味を持てたことで、二ヶ月間くらいだったけど全ての教科で100点を連発した。
特に、きっかけになった図形の証明は、当時を思い返してみる限り、ほとんど図形を見た瞬間くらいに解いていたと思う。
残念ながら授業の図形の証明が終わると同時に、再び勉強に興味を持てなくなってしまい、また以前のように勉強をしなくなってしまった。だけど、その二ヶ月の間に、勢い余って一年の最初から二年の二学期までの教科書の内容を頭の中に入れてしまっていた。
それで進学校に行けた。
でもやっぱり高校に入っても勉強をしなかったので、完全に落ちこぼれてしまった。
100点を連発した後、再び勉強をしなくなって、二、三ヶ月が過ぎたころ、中学で知能テストが行われた。
朝一から始まって、給食の後も続けられた知能テストだった。
だが、おかしなことに、生徒も親も誰もテストの結果を教えられなかったらしく、後で問題になったと聞いたことがあるんだけど、僕は多くの先生から結果を教えられていた。
副担任の〇倉先生は、
「〇〇君は、やっぱり天才だったね。〇〇君は、その気になったら学問ならどんな学問でも物に出来る驚愕の知能を持っているよ。頂点に立てる分野も少なくないと思う」
〇木先生からは、
「先生が〇〇君くらいの知能を持っていたら寝ないで勉強するのに」
と言われた。
掃除の時間、教頭先生に呼ばれて、こんなことも言われた。
「君は将来、医者になって癌の研究をしなさい。君が癌の研究をすれば、世界中の何十万、何百万の人達の命を救える。歴史的な人物になれるから」
今から考えると嘘みたいな話だけど、これらは全て本当デスラー総統。
でも僕は、学校では、ほとんど勉強しなかったし、社会のことも理解出来なかったから、最初に就職したとき、会社の人達を見て、
“上から下まで、どうしてこんな馬鹿みたいなことを真面目な顔をしてやっているんだろう?”
それが十五年くらい前まで、ずっと続いていた。
そして現在、僕が持っている知識のほとんどが、この十五年間で得たものだ。
十五年前、 “ひょっとして自分は先生方が言っていた通りの天才で、だから社会を理解しにくいのかな?”
と気付く瞬間があった。
──続く。