書籍化作家の悪夢”三万円の男”
「?!」
俺は目を覚ました。
「何かすごい悪い夢だったような気がするがよく覚えていない……」
いつもの通り起きたらパソコンを起動させてあるサイトにアクセスする。
それは”小説家になれるかも?”というWEB小説を投稿できるサイトだ。
このサイトから書籍化すなわち出版社が発売する紙の本になることは一つの夢だ。
もちろんその道は険しくてそう簡単に書籍化出来るわけじゃない。
だがその数がどんどん増えて来るともしかしたら俺にもチャンスがと思ってしまったりもするのだな。
書籍化される場合にパターンは大きくわけて2つでそのサイトで開催されている出版社のコンテストに入選するか、評価ポイントを得てランキング上位に入ったりして出版社に声をかけてもらうか。
「まあ、そんなに甘くはないよなぁ」
そうつぶやきながらマイページにログインすると……、
”メッセージがあります”
「ん、何だろ?」
クリックしてみると”なれるかも運営より”と表示される。
「げ、俺……なんかやばいことしたっけ?」
更にクリックすると”出版社よりの書籍化の打診について”と表示される。
「え、マジで?書籍化?」
その後メールでやり取りし担当さんと直接あって打ち合わせをしたり改稿したりなんだりして半年後、無事に紙の書籍の発売に至った。
「俺の小説が書店の棚に置かれるなんてホント夢みたいだ」
そして発売から何日かたって本屋を回ってみるが本が減ってるような感じがしない。
「棚の下にストックは入ってるはずだしきっとそっちが減ってるんだよな」
そして印税が入る日が来た。
ワクワクしながら銀行の通帳を記帳する……
「えーと、30000……三万円?
たったの?なんで?」
彼の契約は実売数の5%というもの。
「1200円の5%だから一冊60円として500冊しか売れなかったってことか……。
俺は三万円の男ってわけだ」
出版社が一つの本を出版するのにはいろいろな諸経費を含めて出版そのものに180万円程度その他に作者の印税と流通の経費や書店での棚台などをあわせて300万円ほどかかるのが普通らしい。
1200円の本が500冊売れたとして売上は60万円だから大赤字なわけだよな。
「書籍化の夢がかなったと思ったらとんだ悪夢だったわけか……」
俺はもう”小説家になれるかも”に作品を投稿することはないだろう。
もうどうでも良くなってベッドに身体を投げ出して寝てしまった。
・・・・
「?!」
俺は目を覚ました。
「何かすごい悪い夢だったような気がするがよく覚えていない……」
いつもの通り起きたらパソコンを起動させてあるサイトにアクセスする。
それは”小説家になれるかも?”というWEB小説を投稿できるサイトだ。
このサイトから書籍化すなわち出版社が発売する紙の本になることは一つの夢だ。
もちろんその道は険しくてそう簡単に書籍化出来るわけじゃない。
だがその数がどんどん増えて来るともしかしたら俺にもチャンスがと思ってしまったりもするのだな。
書籍化される場合にパターンは大きくわけて2つでそのサイトで開催されている出版社のコンテストに入選するか、評価ポイントを得てランキング上位に入ったりして出版社に声をかけてもらうか。
「まあ、そんなに甘くはないよなぁ」
そうつぶやきながらマイページにログインすると……、
”メッセージがあります”