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ゾンビ、生存者を探す

ロンリーゾンビ。

資料漁りを終えて、猟奇殺人の現場に戻った俺。

実は何となく気になっていた冷蔵庫を開けると……なんと食べ物が!

まぁ、パンデミックも始まったばかりで電気設備も生きてるからだろうな。

俺は感謝しつつぎこちない動きで中にあった食料を取り出して食べる。

生だと危険なものは避けて、久方ぶりに人肉以外でエネルギー摂取。


「ウウゥゥゥゥ……」


……なんだろう、俺ゾンビは元気なさげだ。

あっ、そうか!体内のウイルスの数が増えてるってことは、体力を吸う量も増えてるって事か!

うっかりしてた、もう冷蔵庫に食べ物なんて……あるじゃないか、食べれるものが床に二つ。

結局新鮮な食材を食えたのに、人肉……正確にはゾンビ肉を食べることになった。

まぁ、味も臭いも食感も分かんないからいいんだけどさ!気持ちの問題!

ゾンビ二人分を食いきると俺はドアのカギを開けて外に出る、もうここには未練も食べ物もない。

……さて強くなると決めたものの、そうなるとやるべきことは決まっている。

沢山の食糧確保と、作戦対策の隠れ家の確保……そして孤独の解消だ。

えっ、他二つはともかく最後は不要?

人はね、一人では生きられないんだ……だから元人間のゾンビも、ね?


ーーーーぶっちゃけると、ただ寂しさと不安を紛らわせたいだけって言う。


だからこれは全くもってついでで構わない、ゾンビな俺は頭の中で飯寄越せと騒ぐDウイルス君と付き合っていかなきゃいかんわけだし。


「オオオォォォォ……!」


俺は呻き声で喝を入れつつ、ゆっくりゆっくり歩き出す。

その先に待つのは地獄か、ヘルか、アンフェールか……全部地獄だなこれ。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





西洋風の建物が並ぶ住宅街は、非常に趣がある。

しかし血肉が飛び散り、呻き声があちこちから聞こえるので台無しだ。

その呻き声の原因の一つである俺は、とにかくゆっくりとでも歩みを進めている。

ゾンビ二体分が腹に入ったからまだもってはいるが、やはり不安だ。

腹が鳴りだしたら、そこらのゾンビでも狩ろうと俺は決意を固めつつ前に進み続ける。

時折周りを見渡す、ゾンビか貪られている死体しかない。

生存者など絶望的なんだろうか……そう思い始めていた時。


「オオオオォォォォ……」

「ウウウウゥゥゥゥ……」


複数のゾンビたちが、ガッシャガッシャと鉄の格子を揺らしている。

見上げると大きな洋館が聳え立っており、中には明かりが見える。

生存者キタコレ!

……ただかなり目立つ場所だ。

食べ物が減ってゾンビが殺到しだしたら、どんだけ頑丈な門や鉄格子でも、破壊されたり乗り越えられてしまうかもしれない。

そうなったら対処できるだろうか?

頻繁に数が減るなら良いだろうが、見たところそういうのは気にせずとにかく引きこもっているっぽい。

それにどれだけ蓄えがあっても食料など資源にも限界があるだろう、年代的に便利な冷凍食品などないだろうし。

と、そんな事を考えていると。


“パンッ!パンッ!”


銃声が鳴った、聞こえたのは洋館の方。

反対側で誰かが応戦しているのか、或いは……洋館の中にゾンビが現れたか。

ん?何故門や鉄格子が突破されていないのに、洋館内にゾンビがいるか?

そりゃあ中の人間が感染したからだろうな。

感染経路は何もゾンビからだけじゃない、他の生き物が感染して中に入ったりとかもある。

ネズミだろうと、ゴキブリだろうと、野良猫だろうと、鳥だろうと……それらに噛まれたり突かれたりすれば感染してしまう。

今頃中では大混乱だろう。

……仕方ない、こっそり侵入しよう。

俺は目立たない場所に踏み台になりそうなものを探して積み上げ、鉄格子を越えた。

そして鉄格子ごしに高く積んだ踏み台を崩す、これで奴らが後に続いてくることはない。

俺は堂々と洋館を目指した。

誰でもいい、無事でいてくれよ~。

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