とうとう異世界転生藪雨くん
-プロローグ-
「腹減った……」
ぐぅーと鳴るお腹をおさえ、パソコンをシャットダウンする。
「金も尽きたし、そろそろ潮時かな」
そう呟くと俺はベランダに出る。ギシギシ鳴って、今にも落ちそうだ。三階までしかないこのアパートの三階に住んでいる俺はベランダから飛び降りた。
-第一話 こんな美少女は嫌だ-
「ってぇ……」
ズキズキする頭を押さえながら目を覚ました俺は、自分が今どこにいるのか分からなくなった。いや、正確に言うと地球じゃないことだけはよく分かった。銀色の髪の少女。綺麗なオッドアイの青年。時には耳が尖っていたり、尻尾が生えていたり、獣耳をつけた者達までいる。そして他にも異様なのは全員美男美女ということ。ひきこもりニートで、よくラノベや漫画を読んだり、アニメを見たりする俺には今どういう状況に陥っているのかよく分かった。
異 世 界 転 生
本当にこんな事があるのだろうか、夢でも見ているんじゃないかと考える。でもお約束の頬をつねるをしてみても目は覚めないし痛い。
「でもまぁ、現実よりこっちの方がましだな」
と、にこやかに笑い立ち上がる。そんなことしても状況はまったく変わらないが。
とりあえず異世界転生したなら世界を救わないとな。なんて甘い考えをした俺は、歩き始めると同時に目を見張るような、こんな美男美女がいる中でも一際目立つ絶世の美少女にぶつかった。
「あわわ……えと、す、すみま--」
そんな美少女に見惚れた俺は彼女が謝ろうとしたのを遮るようにこう言った。
「俺と世界を救いませんか!!」
自分がとてつもなく馬鹿なことを言っているのは理解している。でもこんなチャンス逃す俺では無い。
けれど、彼女から発せられた言葉で地獄へ突き落とされた。
「はぁ!? ばっかじゃないの? そんな貧相な顔と冒険とかしたくないし。てか今時世界を救うとか何言ってんの?」
そして俺は心の中で叫んだ。
こんな暴言美少女は嫌だぁぁぁああああ
このお話は自殺した彼--藪雨とその愉快な仲間達が繰り広げる異世界転生物語である。
初めての投稿で少し緊張しますが、これから頑張っていこうと思います。少しでも多くの人に読んで頂ければと思っています。
以後、よろしくお願いします。