1-0 プロローグ:世界を変える炎
この目に映るのは、燃え上る世界。
今さっき自分が放った「太陽」が通り過ぎた後には、炎がごおごおと燃え盛っていた。
そう、世界は一変した。
ボタン一つで。
これは、ゲームだ。
そう、たかがゲームの話だ。
雷が何本も落ちようが、大地震が起きようが、勇者が旅立とうが、魔王が倒されようが、だかがゲームなのだから、現実に生きる僕達には、何の意味も無い。何の影響ももたらさない。ソレとは関係なく地球は回り、世界は動き、時間は進み続ける。
そう、無いんだ。意味とか価値とか、無いんだ。
無いはず、なのに。
その光景から僕は目を離せない。
感じ取れないはずの熱が感じ取れる。炎は未だに燃え盛り、その光で目が眩む。
どくどく、どくどくと心臓が高鳴っている。
炎がゆらゆら、ゆらゆらと揺れて見える。
「――これが、こんなものが、僕だけの……?」
――そう。この「太陽」は自分だけに使えるモノ。
他に「太陽」を使えるプレイヤーは、いない。
このゲームの中にいるプレイヤーの他の誰でも無い、自分だけが使える、「太陽」。
その事実に心が震える。
自分の感情に名前を付けられない感覚。
「[極死の太陽]……」
その名前をもう一度、心に刻み付けるように、僕は呟いた。