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2nd Life~異世界転性生活~  作者: 中二病作家G
転篇・生まれ変わって異世界生活
6/23

ヴェリエル













「げふっ、げほっ!?」


『あなた、大丈夫?』


生きて………る?

何で?


ゆっくりと目を開けると、

真っ先に濃い紫色の髪の女性が目に入った。



「……何……で…ケフッ……」


『まだ動かないで、毒が残ってるみたい。』


何が何だかわからないが、どうやら助かったらしい。



『これを飲んで。

毒を中和してくれるわ。』


ボヤける視界の中で、女性が私の口に何かを突っ込む。

すると口のなかにドロリとしたものが流れこんできた。



「げふっ!?」


何これ苦っ!?


私はあまりの苦さに目を見開き、口のなかの液体を吹き出した。


白濁の液体が、女性の顔と私の身体に降り掛かった。



『あらあらダメじゃない、溢したら……』


女性は私の両頬を押さえ、私の唇に自らの唇を重ねた。



「ふむっ!?」


そして彼女の口から、先程の苦い液体が流れ込んできた。


私は必死に抵抗するが、身体にほとんど力が入らず、ぴくんぴくんと僅かに動くだけだった。



女性の口から流れ込んでくる大量の苦い液体を、無理矢理胃のなかに流し込まれ続けること数分。


私のお腹は妊娠よろしく膨らんでいた。


なんでこうなった。





『もう大丈夫ね。

毒もほとんど中和されたわ。』


女性はそう言うが、身体の感覚はほとんど無く、指すらまともに動かすことは出来ない。



「あぅ……えぁ……」


口もまともに動かないので喋ることすらままならない。



『今はゆっくりお休みなさい。

私がそばにいるから…』


女性はそう言って優しく私の頭を撫でた。


とても心地よく、緊張が和らいでいく。

張り詰めていたものが一気に緩んでいき、私はそのまま抵抗も無く眠ってしまった。

















・・・・・・・・・、意識を失ってからどれだけ時間が経ったのだろうか・・・・・・・・・



「………ふっ、

知らない天井だ。」


ぱちりと目を覚ますと、真っ先に青く透き通ったガラスのような天井が視界に入った。


それはゆらゆらと光を通し幻想的に輝いていた。

まるで水の中にいるかのような、そんな光景だと思う。

昔行った水族館の水のトンネルみたいだ。

まぁ、前世のことだから詳しくは思い出せないんだけどね。



『あら、お目覚め?

もう大丈夫みたいね。』


天井に見惚れていると、すぐ近くから声が聞こえた。



その人物を探そうと首を動かした瞬間、その人を見つけた。



長い濃紫色の髪に、濃紫色の瞳の美しい女性が、私に膝枕をしていた。




「えっと……

貴女はいったい……?」


見た感じ悪い人ではないみたいだし、どうやら私を助けてくれたようだ。


ただ、彼女の内包する魔力に邪悪ものを感じるが……



「私の名前はヴェリエル。

ヴェルって呼んでくれてかまわないわ。

そして、この泉の女神ってところかしら?」


「ヴェルさん、ですか。

……てゆうか女神様!?」


え、え?え?

なにそれ、どゆことなの?



「貴女、姫鏡ちゃんのお友達でしょ?」


「ふぇっ!?」


なんで姫鏡さんの名前がここで出てくるんだ?



「私は、と言うより、ほとんどの神は姫鏡ちゃんと何かしらの繋がりがあるのよ?

何せ姫鏡ちゃんはいろんな世界の管理人みたいなものだからね。」


頭にクエスチョンマークを浮かべているとヴェリエルさんが姫鏡さんとの関係を説明してくれた。



「そう言えばそんなことを聞いたような……」


「姫鏡ちゃんの加護を持ってるから最初ビックリしちゃったわ。

それで、貴女名前は?」


「あ、えっと雛……、じゃなかった、クリスティナ・アミュレスです。」


「ゆかりちゃんって言うのね?」


待て。





なぜ私の本名、即ち転生、もとい転性前の名前を知っている?


この世界では雛霧ひなぎり ゆかりの名は口外したことは無いぞ?



「姫鏡ちゃんが、もしも出会うようなことがあればよろしく頼みますって言ってたからね。」


姫鏡さんの仕業でしたか…



「今はクリスティナ・アミュレスとして生きているんで、

出来ればクリスと呼んでください。」


前世の名前はコチラの世界では邪魔にしかならないだろう。

余計な事に巻き込まれたくは無いので、余りコチラ側には知られたくない。



「もちろんわかってるわ、ゆかりちゃん。」


「………」


「冗談だから、そんな目はしないで……」


しばらくジトーっと見つめた後、私は視線を戻した。



「まぁ、助けてくれたことには感謝してますけど、

それよりこれはどうにかなりませんか?」


私は妊娠よろしく脹らんでいるお腹を指差す。



「自然に戻るからしばらくの我慢よ。

今は毒を中和している状態だから、完全に解毒されたら元に戻るわ。


それと、貴女を助けたのは私じゃない、私はあくまで解毒しただけよ。」


「?

どういう……」


『グロオオォォォォン』


その時、地を這うような低い唸り声が轟いた。



「ちょうど帰ってきたわね。」


ヴェルさんがそう呟いた瞬間、天井から巨大な蛇のようなものが降ってきた。



「彼が毒の沼から貴女を助けてくれたのよ。」


「ヨ、ヨルムンガンド!?」


それは神話に語られる伝説の魔獣。

終末の獣と呼ばれる神にも匹敵する力を持った化物だ。



「彼が毒に犯された貴女を助けてって言ったから、私は貴女を助けたの。

まぁ、姫鏡ちゃんのお願いがあった事も助けた理由の一つなんだけど……」


「そうなんですか…」


ヒュルッとすぐ目の前にヨルムンガンドが迫ってきた。

巨体のわりに軽やかでかなり素早い。


正直、見た目が“続・ボクらの太陽”に出てくるヨルムンガンドに酷似しているので、かなり恐い。主に口が。



「助けてくれてありがとう。」


まぁ、見た目が何にせよ、命の恩人(人ではないが)には感謝しなくては。



『グルルル…』


ヨルムンガンドは頭を低くして擦り寄ってきた。


何これかわいい。




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