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第七回 二代 黒田忠之①~黒田の悪童、爆誕~

挿絵(By みてみん)

 注意。

 今回の記事は、汚名に塗れた黒田忠之公の名誉回復する一助となる為、100%擁護する内容です。

 それまでマイナスの部分しか強調されなかった忠之公のプラスを敢えて強調する事で、新たな化学変化を誘発するねらいがあります。

 ですので、読者の皆様には記述した内容を鵜呑みにせず、読んだ後自分の頭で考えて頂ければ幸いです。


 故・池波正太郎先生が、著書の中で申しておりました。


「人間は善い事をしながら悪い事をし、悪い事をしながら善い事をする」


 それでは、福岡藩史に大きな渦を生んだ、怪物・黒田忠之について語りたいと思います。

 


 黒田忠之は、慶長七年十一月九日、黒田長政と正室、大涼院だいりょういんの長男として福岡で生まれます。慶長七年というと、関ヶ原の二年後になりますね。

 父親の長政はさておき、母親は大涼院。大河で話題の糸ではなく、長政が娶った二人目の正室です。

 この大涼院は、信濃国高遠城主・保科正直の娘で徳川家康の養女、名を栄姫といいます。

挿絵(By みてみん)

 ※秋月にある大涼院の墓(写真協力/風見如保様)。

 また墓所にある秋月山浄仙院大涼寺の本堂の天井には、葵の御紋がいっぱい!



 この母親に関して、忠之と実弟・黒田長興くろだ ながおきとの不仲について少し。

 忠之には長興という弟がいました。この弟は大変聡明で、父・長政が跡目を継がせようと思ったほどです。

 そうした経緯から忠之と長興は大変不仲でして、秋月藩を立藩し独立大名として徳川秀忠・家光にお目見えしようとした際に、

「そうはさせるか! お前は儂の子分じゃ」

 と、忠之(というか、栗山備後くりやま びんご大膳だいぜん親子と小河内蔵充おごう くらのじょうら側近かもしれませんが)は、刺客を送り込み妨害をしました。

 結果、秋月藩は秀忠・家光に御目見えし、支藩でありながら独立大名の格式を与えられました。

 ※しかも、この時に細川家の小倉藩が手助けしたとも。小倉藩は福岡藩にとって仮想敵国。色々考えちゃいますよね~(笑)

 そんな不仲の兄弟。僕には、愛にあふれる慈母・大涼院の愛を得る為に争ったようにしか僕は思えません。上述した大涼院の墓を作るのに、長興が直々に現場監督をしています。母の死後も、その愛を取り合った、と僕は墓参をする度に思います。


 さて、話はそれましたが……


 忠之は、若い頃に遊蕩に耽ったとされています。偉大過ぎる祖父・父と比較されるのが嫌だったのでしょうね。

 長政は忠之の奇行と気性を心配し、何度も注意しますが更生しない。

 業を煮やした長政は、目付を忠之に差し向け、

「以下の三つから選べ!」

 と、今後の決断を促します。


 一、二千石の田地を与えるから百姓になるか?

 二、一万貫の銀子を与えるから商人になるか?

 三、千石の寺領を与えるから僧侶になるか?


 そう、忠之を廃嫡し、可愛い長興に跡目を継がせようとしたのです。

 忠之はショックです。

「とうとう、親父にも見捨てられた……」

 と、絶望した事でしょう。

 そうした窮地を救ったのが、忠之の傅役で兄的存在だった、大膳。

 大膳は忠之に切腹すると親父に言えと進言し、その上で彼は、

「忠之様はこれからのお人。どうか反省の機会を! 我々も忠之様の為に身命を賭して尽くします。しかし、この願いが許可されないなら、大組九十名の嫡子、尽く腹を切り忠之にお供いたします」」

 と、長政に啖呵を切ります。

 流石の長政もこれには苦笑するしかありませんでした。

 後日談として、忠之の遊蕩はこれで収まらず、また長政に廃嫡を言い渡されたそうですが、また大膳が救ったそうです。

 大膳、忠之の大忠臣なり(※この時点ではw)


 遊蕩時代の忠之は、関宿藩主松平忠良の次女・梅渓院ばいけいいんと結婚します。身を固めて更生を促したのでしょうね。

 しかし、忠之はそんな事は気にしない。鷹狩の帰りに早良郡橋本で坪坂(後に新見に改姓)という浪人の娘を見初め、御城に連れ帰ります。

 そして、妊娠。橋本に戻り出産。これが、三代・黒田光之です。

挿絵(By みてみん)

 ※光之誕生の地(坪坂氏屋敷跡)


 面白い事に、光之が誕生した二か月後、正室の梅渓院が亡くなるんですね。二十三歳の若さです。

 いや、現代とは違いすぐに人が死ぬ時代。別にアレを疑っているわけではありません。

 正室の死後、浪人の娘・養照院ようしょういんは光之と共に黒田美作くろだ みまさかの屋敷に預けられ、継室になります。彼女は非常に賢く、そして人格者として知られ、忠之を終生支えたと伝わっています。


 話は前後しますが、長政の後を継いだ忠之。いよいよ自分が思い描く政事を成そうとしますが、ある男が立ちはだかります。


 福岡藩、稀代の忠臣にして叛臣――


 栗山大膳


 彼はこう言いました。



「主家、滅ぶべし」

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