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第六回 藩祖 黒田長政~家康に天下を取らせた男~

挿絵(By みてみん)

 家康に天下を取らせた男は、黒田長政である。

 そう言えば、

「それは言い過ぎでしょ」

「福岡市民の贔屓目だね」

 と、いう声が聞こえてきますが、少なくとも黒田長政自身は、

「内府に天下を取らせたのは、この長政である」

 と、信じているに違いありません。

 今回は、黒田孝高の嫡男にして、筑前の太守、そして豊臣政権の棺桶に釘を打ち付けた黒田長政について書きたいと思います。


 生まれは、永禄十一年十二月三日。黒田孝高と正室櫛橋光の嫡男として播磨姫路城にて生まれます。幼名は松寿丸。ついでに母方の櫛橋氏は後に黒田家の家臣となり、現代でも福岡や秋月に残っています。

 さて、長政は織田家人質時代に、信長によって殺されそうになります。これを救ったのが、智将・竹中半兵衛。長政は半兵衛の家臣である不破矢足(喜多村十助直吉)の屋敷に匿われ、命を救われます。

 長政は後年、不破矢足を召し抱えようとしますが、これを固辞され、代わりにその嫡男が黒田家に仕えます。これが福岡藩に於ける喜多村家の発祥で、幕末には宝蔵院流の使い手として活躍した喜多村保良もこの系譜です。

挿絵(By みてみん)

 ※喜多村保良


 そうして命拾いをした長政は、秀吉の下で戦績を積んでいくのですが、この辺りの長政は、父譲りの智将ではなく、驍勇を以て敵を圧する猪武者でありました。

 しかし、秀吉が死に、徳川家康と石田三成の間に不和が生じると、この長政が突如確変(笑)

 小早川秀秋や吉川広家等、西軍諸将の調略を担当し、また東軍にあっては秀吉恩顧の武将を徳川に従うように橋渡しを成します。また関ヶ原戦役の本戦では、黒田軍は西軍相手に奮戦激闘し、一騎当千の猛将・島清興を敗退に導きました。

 長政の功績は、東軍で一等でしょう。故に、家康は長政の功労に自らその手をとって賞し、子々孫々まで罪を免除するというお墨付きを貰いました(これが後に黒田騒動で揺れた福岡藩を救う)


 関ヶ原以降、長政は次に来るべき大乱を待ち望みながら、福岡の城下町形成に力を注ぎます。特に新田開発と旧国人勢力の取り込みに心血を注いだと言われます。


 辞世は

「此ほどは浮世の旅に迷ひきて、今こそ帰れあんらくの空」

 ※私の人生は迷ってばかりの旅であった。今こそ安楽のバライソへと帰ろうではないか(筑前筑後訳)


 そう我が人生悔いなし! 的ですが、こんな事も言ってます。

「死に際し残念なのは、いま2万の士卒を率いる将であり、日頃よく調練し、戦いに臨めば節制厳粛にして、縦横無尽、心のごとく自由ならしめんことが必然なのに、これを試みることができないことである」

 戦いたかったんだろうね。やっぱり、あなたは猪だ!


 さて、そんな長政。僕の中では、余り良い印象がありません(さりとて嫌いではありませんが)。その原因は、五十二万石の虚偽報告と黒田騒動の遠因を作った事にあります。

 黒田騒動については後々述べますが、長政は栗山や母里、井上を代表とした家臣団に気を使い、終始その権益に手を付けませんでした。長政時代の福岡藩には、藩内にまた別の藩(領主は家臣)が点在するという二重構造であり、到底近代大名とは言えません。具体的に言うと、黒田重臣三十二家が福岡藩総石高の四十三%を占めている状況でした。この歪な支配体制は、次代の黒田忠之に引き継がれ、彼は突飛な方法で解決しようとするのですが、それはまた別の機会に。

 それにキャラクターとしても、意地っ張りで見栄っ張りな部分は僕の共感を呼ぶところではありません。


 しかしながら、長政が福岡に残した功績は小さくありません。むしろ莫大で、福岡は長政をもっと顕彰すべきだと思います。少なくとも、彼の銅像が無い現状はどうかと思います(家臣の銅像はあるのにね)

 福岡市長、長政の銅像を作りませんか! 博多駅の前に。


◆ 黒田長政 おススメ関連作品


〔小説〕

 群雲、関ヶ原へ(岳宏一郎)

 この作品の長政は、キレキレです。活躍も武勇も野心もキレッキレ。隠れた主役級の働きをします。長政ファンは読むべき作品。


〔映像〕

 軍師官兵衛(大河ドラマ)

 終盤は家康の犬になり下がりましたが、若武者ぶりはいい感じです。しかし、宇都宮の辺りの鬱病状態はいただけません。


 葵徳川三代(大河ドラマ)

 長政役は山下真司。渋メンで格好よいですよ。

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