第十回 二代 黒田忠之④~殿様、白魚を放流す~
今日、西日本新聞にて福岡初春の風物詩である、伝統の白魚漁のやな(罠)作りが始まったというニュースを読んだ。
場所は福岡市西部を流れる室見川の下流。室見川は、椎名林檎や川嶋あいの歌でも有名な河川で、アニメ「波打際のむろみさん」の由来になった事で有名である。この川では白魚が獲れ、川岸には白魚料理を出す和食店が多い。
※室見川(著者の散歩・サイクリングコースでもある)
この白魚漁は江戸時代に始まったとされるが、この白魚を筑前に持ち込んだのは、何を隠そう、我らが黒田忠之公なのである。
貝原益軒「筑前国続風土記」によれば――
「昔、白魚は筑前にいなかった。忠之公が上方より稚魚を取り寄せ、多々良川・那珂川・室見川・蘆屋川に放流した」
と、いう事だ。(残念な事に、室見川以外は川が汚れて姿を消したらしい)
また、現在の西新以西に住む下級藩士の食費の足しにせよと、忠之公は百道松原付近の江切小屋(白魚を獲る為の小屋)を設けたという話も伝わっている。
このように、建国神話にありがちな聖君伝説のようにも聞こえますが、暗君として描かれる忠之にも、こうしたハートフルな側面もあります。残念ながら、福岡市民の多くがこの話を知りません。しかし、確実に忠之の行いは現代にも息づいているのです。
忠之の民を想う、海よりも広く深い愛情にひれ伏しましょう!白魚を踊り食いしながらね!