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ゆやの物語  作者: ゆや
11/20

弱い盗賊に幸せを

七人の涙もろくて、心優しい盗賊と、騎士だった少女の話

騎士だった少女が仕えていた城が落ちた。少女は一人、森を彷徨っていると生まれたての動物のように足を震わせている盗賊に出逢った。

弱くて弱くてどうしようもないぐらいにお人好しな男達と少女の話。

元騎士×元女王 ヤンデレ隊長×家事好きチャラ男 粘着質×元騎士

城が燃える


美しかった城が


あぁ!


陛下…っ!





(カシラ)!お頭!!朝ですぜ!」

「ああ」

起き上がると、相変わらず体の節々は痛かった。

小汚い装いの男が、隙間風だらけの部屋から出て行く。ここは、それなりの大きさのあばら家だった。虫も出るし、風呂なんか当たり前のようにない所だ。

白かったシャツは今では黄ばみ、以前の生活が夢のようだと、最近は思うばかりだ。

私は、国が敵国に落とされるまで城に仕えていた。女王陛下の親衛隊の(イチ)隊員でしかなかった私は、どんな雑事も進んでやった。

尊敬して止まない女王陛下は、美しく聡明な方でいらっしゃった。





美しいバラ園。綺麗に揃えられた芝生に、林檎の木々。全てが私を圧倒し、魅了した、陛下の庭は、きっとこの先忘れる事などできやしないだろう。

白亜の城の玉座に座る陛下の姿は、いつもお美しかった。黒く長い、腰までの長さのある髪に、アーモンド形の大きな目。化粧をしていないはずなのにも関わらず、透明感のある白い肌。赤く瑞々しい唇。豊満な胸にキュッと絞られた腰。高い身長は、女性国民皆の憧れの象徴だった。

陛下は、お美しいだけではない。その身に宿る心までもが美しい。

頭が良いので、戦略など敵の先手先手を考えて動き始める。決して愚かではなかった陛下の戦略は、一つとして外れなかった。

「レーン!」

「なんでしょうか、隊長」

親衛隊の隊長は、女性だ。しかも、女王陛下の妹君だ。憧れない理由がない。

「悪いけど国外の森にある、薬草を取りに行ってもらいたいのよ」

「え、薬草ですか?それなら、専門の方を呼び付けましょうか」

「いいえ。アナタがいいの」

この時の私は、よくわかっていなかった。

隊長は、私を守る為に国から私を追い出したにすぎなかった。

夕方前には戻ろうと思って、近道してきたはずだった。手提げの籠の中には、言われた薬草が山のように積まれていて、きっとこれを隊長に見せれば、喜んでくれると疑う事さえしなかった。

だから、ふと崖の上から見た城が、国が、燃えている事に気付いたのは。

「陛下っ!!!!」

すぐに、行こうと足を動かそうとしたその時、城が崩れた。

なおもゴウゴウと燃え盛る国は、最早国とは言えなかった。





それから、私は茫然自失しながらも、森を彷徨い歩いた。そんな時に、弱い弱い盗賊に出会ったのだ。

彼等は、文字通り弱かった。弱い癖に、なんで盗賊なんぞになったのかと問えば、行き場がなかったのだそうだ。戦争で家族を失った者、村を追い出された者、身寄りのない男共が寄せ集まっただけのコイツ等との出会い頭、コイツ等は盗賊に襲われた。

最初、コイツ等が襲っていたのは私だった。だけど、その後から別の盗賊がやってきたのだ。

弱すぎるコイツ等に代わって、私が返り討ちにしてやった。それからは、私がコイツ等の頭になってやったのだ。

心の優しいコイツ等を守るのが、今は私の役目となった。

「お頭!今日の取れたてのトマトで作りやした。トマトとモッツァレラとレタスのサラダでございやす!それと、トマトのスープと、焼き立てのパン。それから、」

彼は、料理人だったらしい。だが、この口調が治らなくて首になったそうだ。腕は確かなのだが、問題は口調。当然、これだけ料理が上手ければ、シェフを紹介しろと言われるのは当然だ。それができないのだから、シェフにはなれなかったのだそうだ。

「相変わらず美味いな」

「お頭!今日これから、家の補強したいと思うのですが!」

「……売れる物もついでに作っておけよ」

この男は、元は大工なのだそうだ。

だが、戦争で家族を亡くしその腕を奮う機会がなくなってしまったのだとか。そして、ついこの間の私のように茫然自失で森を彷徨って居た所にコイツ等と出逢ったのだとか。

「頭ー!明日はとうとう、ナスとピーマンとスイカの種を蒔こうかと思いやすが、」

こいつも、戦争で家族を失っている。家は、一般家庭専門の庭師だったと聞くが、趣味は元々農業だったらしい。

他にも、見た目が極悪な、元執事に、可愛い服を作るのが大好きな、見た目小汚いおっさん。家具作りが本業だが、拘りが強すぎてどこも雇ってくれない無口な男。家事が趣味の見た目チャラ男。

たまになんだコレ。って思う。

コイツ等を見ていると、いつの間にか、立ち直れている自分が居た。

救われていたのだか、いかんせん。こんな連中の集まりだけに、最初は酷かったあばら家だったのだが、元大工の男が、大々的にリフォームを始めたのだ。それは今も終わってはいないが、最初、私が来た頃よりはだいぶ綺麗になった。

「頭!今日はこの服で」

「ヒラヒラしすぎだ!それと今すぐに風呂に入れ!臭いぞ!」

「へい!今すぐに!」

結局、私がヒラヒラの服を着るのがわかっていて、男はすぐに風呂に行った。

白を基調とした、姫チックなドレスは膝丈だ。ご丁寧にブーツまで付けやがって!

「じゃあ、お頭の髪は俺がやりますねー」

とことん盗賊には向いていないコイツ等の最近の娯楽は、私をデロデロに甘やかす事だ。

「…っわかった」

食事を終わらせ、フリフリの膝丈ドレスに着替えるとチャラ男が、私の髪を弄り始める。この男。元は貴族だったらしいが、貧乏だったらしく家事や姉と妹の髪弄りまでやっていたらしい。貴族なのだから、将来的には結婚しなくてはならず、結婚イコール家事が出来ないという方程式が立ったので、結婚には全力で後ろ向きなんだそうだ。

「なぁ、思ったんだが、家事の苦手な奥さん探そうとか思わなかったのか?」

「いやぁ、そういう相手見つけようと思った事もありますけど、このご時世、バリバリ働いて、俺を養ってくれそうな人居ないんで」

「…………お前は働きたくないのか?」

「家で、土いじりしたり家事してた方が楽しいですよー」

ニコニコと笑うコイツの顔は決して悪くはない。むしろ整っている方だが、中身がこれだ。これはもう、産まれてくる性別を間違えたのだろう。

「お頭!見てくだせぇー!!ソファ作ってみました!!」

普段無口なこの男は、テンションが上がるといきなり口を開くようになる。そして、そのソファの生地と綿はどうした。

「……家の修繕をするんじゃなかったのか」

「売れる物をと言われたんで、つい」

照れながら言う男が家の中に運んで来たのは、王家御用達の家具屋のような素晴らしい出来のソファがデデンとあばら家の、しかも私の部屋に運ばれていった。

「ちょっと待て!勝手に運ぶな!」

「あ、忘れてた。お頭の部屋から修繕しなきゃいけねぇよなぁ」

コイツ等は基本的にボケ属性だ。

フリフリの服に着替え、チャラ男に髪を整えてもらって、白いお姫様仕様のフカフカのソファに腰を下ろし、紅茶を飲みながら焼き菓子を摘まむ。

「ちっがーう!!」

カップを放り投げると尽かさず、悪人面執事がそれを見事にキャッチした。

「私は、畑に出」

「お頭は、ソファで大人しくしててくだせぇ!」

「俺、お頭の部屋の壁紙買ってくる」

「おい、ついでにこれ売りに行ってくれ!」

「なら俺も付いて行く」

「ソファも売ってこい」

「却下」

満場一致の却下だった。

数日後には、私の部屋は狭いなりにも、驚きの姫仕様の部屋に変わって行った。顔が引き攣っているのが私でもわかった。

それから、どこから手に入れたのかわからない材料で愛らしいテディベアも私の部屋に置かれ、ベッドも可愛らしいのが置かれ、次々と増える家具に、私は「これは、盗賊がやる事じゃないだろう」と、頭を抱えた。




それから、たまに来る盗賊を私が追っ払いながら、月日は流れ、私がここに来ていつの間にか一年が経過していた。

時間が流れるのは早いものだな、と半ば関心しつつも最近ようやく動きやすい服を作ってもらえるようにもなったので、それに着替える。騎士っぽく見える青い服に、白いショートパンツを穿き、白いロングブーツを履く。白いスカーフを巻くと、以前の私が居た。まぁ、あの時は白いズボンだったが。

下に降りれば、相変わらずの賑やかな声が私を迎えてくれた。

「お頭ー!おはようございやす!!」

「おはよう。皆は?」

「へい!今日はお頭が来て、一年になりますんで、皆それぞれにプレゼントを探しに行ってやすが!」

「お前等が居れば、そんなものはいいのに」

そう言えば、男は泣きそうな顔をしてこっちをチラチラ見てきた。

「………紅茶を淹れてくれるか?」

「へい!今すぐに!」

鼻を啜る音を出しながら、それでも男は私の為に調合した紅茶を淹れてくれた。

「ありがとう」

「お頭ー!!」

「ぶふぉっ!!」

紅茶を一口含んだ瞬間に、激しくドア開けられ驚きのあまりに器官に入った。

「ゲホゴホッ」

「お頭!噎せてる場合じゃないです!」

「誰が噎せさせたんだ!!」

「誰ですか!!」

「お前だ!!」

ガチッと脳天に拳をぶちかましてから、男が喋るように言う。

「畑泥棒が居ます!」

「おっぱらえ」

再びカップを持ってそれを口に運ぼうとすれば、庭師が私の手からそれを奪い、一気飲みした。

「あー!!」

「とにかく来てください!」

丸太のように太い腕が私を抱える。

「これが俗に言う美女と野獣というやつか」

「お頭は、美女じゃないですね」

「お前殺す」

ハハッと笑うチャラ男の脳天に拳を振り落とし、庭師の腕から降りた。

畑には、もっしゃもっしゃと、トマトを食べる男が確かに居た。

「確保ー!金目の物は剥ぎ取れ!!」

「お頭、そんな野蛮な事、俺等じゃできやしねぇ」

「お前等、盗賊だろ!!」

盗賊と言ってヘラヘラ笑いだす男共には後で、その脳天に天誅をあげるとして、問題は、トマト泥棒だ。

「おい、お前!」

「なんだ」

「それはうちのトマトだ。誰の許可を取って食べている!」

「煩いぞ小僧!」

いきなり向けられた剣に、私はとっさに剣を抜く。

こちらを向いたその顔は忘れる事などできない顔だった。

「貴様!」

陛下の夫となるはずだった男だ。

まさか、このような所で再会するとは思わなかったが、その前に。

「誰が小僧だ!」

「お前だろう」

即答で返って来た。

「俺は、最愛の婚約者を失って途方に暮れていた」

いきなり語りだした男の話を、自称盗賊の男達が聞く体制に入った。

良い奴等なのはわかるが、時と場合を考えてほしい。

「俺の婚約者は、それはもう大層な美人でな、器量も良いし、性格は満点だし、無邪気なとこもあるし、すんげぇー賢かった」

気持ちは痛い程わかる。

「だが、一年前。敵国の連中が俺の居ないとこを狙って襲ってきやがった。俺が、アイツの傍に居れば、城が落ちる事もなかっただろうな」

どっかりと畑の隅に座った男の背中は悲壮感でいっぱいだった。そんな姿を見たうちの男達は嗚咽を抑えきれず、号泣していた。

「先月、そのアイツの仇である敵国を倒した。だけどなぁ、なんつーか。アイツが帰ってこないってわかってんのに、なにやってんだろうな」

うちの男共は、地面に膝を付いてただの号泣から、大号泣していた。

「…………おい、」

「なんだ、小僧。慰めてくれんのか」

「小僧じゃない。私は女だ」

ゲシゲシッと男の悲壮感溢れる背中を蹴り続ける。

何かを勘違いしているような男に同情の余地などない。

「おーい!レーン!!今日も色々持ってきたわよー!」

「ディアンナ様!」

「は?」





確かに、城はあの時落ちた。もうどうしたって、敵国の攻撃からは防御する事ができなかったからだ。だから、あの時陛下はある決断をした。


――― 逃げるという決断を


私が知らない間に国の人達は友好関係にあった国々に逃がしたのだそうだ。陛下が逃げられたのは、本当にギリギリの事だったらしい。

そして、私がその真実を知ったのは、つい一週間前の事だった。

陛下に再会した当初、私はあまりの衝撃に夢かと思った。とうとう幻を見るまでに自分の精神が病んだかと思った。だけど、陛下は本物で、国という(シガラミ)を失くした陛下は、自分の思うがままに生きた。今では、一年で商売を成功させた大富豪である。

「あなたはこんな所で何をやっているの」

「ディアンナ!」

「聞いたわよ。ついこの間奴等を倒したのは。けれどね、私の事を勝手に亡き者にして悲壮感に酔っているってどういう事よ」

二人を家の中に入れて、お茶とお菓子を出す。

陛下は一人掛け用の赤いソファに座り、悠雅に紅茶を飲みながら、人間ひざ掛けのように、男は陛下の下半身に張り付いて泣きべそをかいていた。

「婚約者の件はどうするのよ」

「結婚するっ!俺は、ディアンナと結婚する!」

ガキか。

そう思ったのは、どうやらこの場で私だけのようだった。

「わかったわ。しましょうか、結婚」

「ディアンナ!」

「宴の準備だああ!!野郎共気合い入れて取り組め!」

「イエッサー!!」

「勝手に準備を進めるな」

私の一言は、聞こえなかったようだった。

その日は、家に隊長もお呼びしてテンヤワンヤと騒いだ。その時に、うちのチャラ男が隊長にお持ち帰りされた時は、どういう反応を取るべきだったのだろうか。

正式に婚約が成立した事で、ウェディングドレスも、料理もうちの連中が請け負う事になり、私はもういい加減、盗賊という名にふさわしくないコイツ等に、盗賊辞める。と言うべきなのだろう。





「レーン」

その夜、私の部屋に来た陛下は私の無駄に豪華に改造されたベッドに座り、私の顔を見上げた。

「立っているな。同じ目線で話をしましょうよ」

「はい」

ギンガムチェックのソファに座り、陛下を見る。

「レーンも結婚すればいいのよ」

「…誰か私の貰い手でも?」

「……レーンのそういう所、結構好きよ」

陛下がそう言ってらっしゃるのには理由がある。

別に結婚が嫌な訳でも、男が嫌いという訳でも、ましてや理想が高い訳でもない。ただ単純にうちの男共が、私の事を我が子のように思っているらしく、私が家を出るとわかると大号泣しだすのだ。

「それと、妹が悪かったわ。すっかりジェンがお気に入りのようで実は毎日、この家の周りをウロウロしているのよ。私とレーン以外の他の女がここに近付くと、『私のジェンに近付かないで。さもなくば四肢をバラバラにしてアナタの家に帰してあげるわ』なーんて、凄く怒るのよ」

こ、こわ

ジェンとは、うちのチャラ男の事だ。そ、そうか隊長は草食系男子がお好みでしたか。

「そうじゃなくても、多分ここには徐々に居なくなってしまうわ」

なんでもないという顔で言う陛下は、本日我が家のシェフであるダルディンの調合したハーブティを口にした。

「このハーブティは凄く美味しいわね。市場に出回らせた所、凄い人気が出てね、注文が殺到したわ。レーン、アナタが今着ている衣服は多少地味ではあるけれど、品があってとても女性的で魅力的だわ。悪人面の彼はとても有能だわ。人手が足りなかった時に彼を貸してもらった事があったわね。彼、気遣いが隅々まで行き届いていてね、欲しい資料とか、本とか書類とか、何も言ってないのに出してくれたりして、本当に助かったの。私が、大工の彼に建ててもらった家があるでしょ。外見も素晴らしければ内装も素晴らしかったわ。それには、庭師の彼と、家具作りの彼も荷担してくれていたけれど、とても素晴らしくて、私、人呼ぶ時はいつも鼻高々なのよ」

アイツ等の良い所一つ一つ言っていく陛下に、私は喜べばいいのだろうけど、途端に寂しくなったのだ。

彼等の、評判は右肩上がり。きっとこの先評判が地に落ちる事はないだろうと言われた。

「………そうですね、陛下」

「厳しい事を言うかもしれないわ。けれど、私はアナタに幸せになってほしいの。皆が前を向いて歩き出しているというのに、アナタだけを取り残して前に進む事は出来ないわ」

だから、なのだろう。

私も、公爵の娘だった。だから、私にも婚約者なるものが居たらしいが、その相手というのは、隊長から聞いた話によれば、もう別の女性と結婚してしまったらしいとの事。だから、陛下のように動き回ったあの男が羨ましいぐらいだ。何故なら、陛下はあの男が、必ず自分の元へ帰ってくるとずっと信用していたからだ。

「ねぇ、レーン。良ければ、私が紹介するわ」

「ゾリア以外なら受けてもいいかなって思いますが」

「あら、残念」

飲み終わったらしい、ハーブティをコトリとサイドテーブルの上に置いた。

ゾリアは、陛下の弟君である。

黒い艶やかな長い髪をサイドにまとめている。吊り上った眼は私をいつも射抜くように見つめてくる。

「ですって、ゾリア。残念ね」

「…え」

「えぇ。ですが、もう法的には夫婦ですし問題ありません」

「…え」

「あら、そうなの。おめでとう」

「…あの」

「先ほど、彼等にも挨拶は済ませましたし、レーンは貰って行きます」

「あらあら。レーンの子供の顔を見れるのもう間もなくね」

「頑張ります」

横に抱き抱えられた私は、颯爽と攫われ、ガッツリ食べられ更にその一年後には、女の子が生まれ、うちの男達を虜にし、泣かした。

ジェンが父親になった日も、可愛い可愛いと男達は泣いた。いくらなんでも泣き過ぎだろう。ディアンナ様に双子が産まれた日は、私も盛大に祝った。

ジェンに会う度、アイツは日に日にやつれて行っていたのだが、子供が生まれてから、肌の艶が良くなっていった。隊長の束縛が強く、隊長自身も色んな意味で強い。隊長に限っては女の身で稼いているので、ジェンは自分の好きな家事が出来るという事と、生来の子供好きが重なって、ジェンは幸せそうだった。

後は、ほとんどディアンナ様に言っていた通りに、男達はあの家から一人、また一人と出て行った。仕事が休みの日は、家に来ていたらしいが、今では他の者が棲み付き綺麗に使てくれているようだった。




そして、もう、あの日の心優しい弱い弱い盗賊は居ない。


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