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ゆやの物語  作者: ゆや
10/20

愛するあなたにフランケンシュタイナーを!

愛するあなたに目潰しを!のヒロインの両親の出会いを書いてみた。

魔性のドM×アマチュアプロレスラー(OL)のラブコメ。

ゆやはスランプなう!

「今日は愛するMyダーリンとデート!張り切り過ぎて、夜も眠れなかったわ!きゃっ」

っていう感じのメールを送ってほしい。という意味のわからないメールが今朝届いていた。送信先は、先日付き合ったばかりの彼氏からだった。




彼の家は農業を営んでいるらしい。そのせいか、大学は農大卒業なのにも拘らず、大企業に勤めている。そんな彼の顔立ちは、まるでレディース漫画から出てきたヒーローのようだった。

それに加えて、ぶっ飛んだ思考回路に仕事の出来の良さは、女性人の心を鷲掴みにした。

そして、私だけが知っている超ド級のマゾフィスト。皆の見ている所で、上司に怒られている時の羞恥心は堪らないと言った時には、かなり引いた。だが、仕事はかなり出来る方なので、普段は怒られるような事はしない。怒られるといっても、会社(・・)に迷惑を

掛けない私用での事だ。

つまり、偶然に見せかけて、わざと上司にあっつあつのお茶を掛けてみたり、うっかりに見せかけて、上司の煙草をぶちまけたりと色々だ。なんとも悪質な悪戯ばかりをしているが、仕事が出来るので上司はいつ、彼が仕事でミスをするのかと今か今かと待っている。

それで、なぜ一体そんな彼とお付き合いする事になったのかというと、至って単純な事だった。




ある時、彼は鉄仮面とあだ名された私に悪質な悪戯を仕掛けてきたのだ。それは、椅子に座ろうと、腰を掛ける寸前で彼はあろう事か、私の椅子を後方に動かしたのだ。それで私は尻もちを付き、羞恥心と腹立たしさに顔を真っ赤にさせて彼に、倍返しをしたのだ。

大学時代、アマチュアプロレスサーとして、リング上に立っていた私は、執念に大技を習得した。まぁ、習得しただけで試合に使った事はあまりないが。

蛇足ではあるが、うちの女性社員の制服はキュロットか、タイトスカートのどちらかを選べる。ちなみに、私はキュロットであり、普通よりかは動きやすい格好をしている。

「いつもいつも、アンタなんなの。こんなくっだらない悪戯ばかりして、仕事が出来るからって良い気になってじゃねぇぞごらぁ!!!」

そして、私は彼に巻き舌でまくし立てた挙句に、フランケンシュタイナーというプロレス技を見事に決めたのだった。

フランケンシュタイナーとは、ジャンプした勢いで、相手の顔を両膝で挟み、バック転の要領で、クルンと一回転して相手を地面に叩き付けるという技だ。


※良い子の皆も、悪い子の皆も真似してはいけません。


「うぐっ…」

ついでと言わんばかりに、ブスッと私は目潰しも決めておいた。


※視力が著しく低下する恐れがあります。良い子の皆も、悪い子の皆も真似してはいけません。


「これで参ったら、もう二度とこんな事すんじゃないわよ。わかったわね!?」

「……ます」

「は?」

ボソリと呟いた彼は、頬を赤くさせてキラキラした目で私を見てきた。

「もう一度、今のを、お願いします!」

今度は両手をギュッと握られて、頼み込まれた。

「はああああ!!!?」

ちょっとよく意味がわからない。

ちなみに私は残業中。仕事はもう一通り終わらせている。つまる所、この男は私の仕事を終わった所を見計らって悪戯を仕掛けてきたのだ。そう考えたら、余計にイライラしてきて、迷わず頭突きを食らわして、荷物を引っ手繰るように持って、私はその場を逃げたにも関わらず、彼は私を追い掛けてきた。

しつこい!!

エレベーターに乗った私は、とにかく閉まるボタンを連打した。そして、彼が乗り込もうとした時、彼はエレベーターの扉にガッシャンガッシャンと何回か挟まれていた。


※大変危険な為、良い子の皆も、悪い子の皆も真似してはいけません。


なんだか、それを見た時、私の中の何かが冷静さを取り戻し、彼をエレベーターの中にとりあえず入れた。

「………なんか、すいません…」

「いえ、むしろとても気持ちが良かったのでっ!気にしないでください」

とりあえず、ローキック食らわせた後に、ハイキックを食らわし、足をヒールでグリグリと踏みにじった。

彼は、ドMらしい。

痛い事と、恥ずかしい事が大好きな彼は、よく仕事が出来る為怒られた事がほとんどないのだという。そうして、彼が考えた事は、とりあえず仕事に影響が出ない程度に悪戯して怒られて、羞恥心に堪えて、はぁはぁ言う事だったらしい。

聞いた途端寒気がした。

「けどもう、そんな事はしません」

「そう、ならいいけど」

「今日からは、僕を苛めてくれるアナタが居ますから」

「は?」

心の底から疑問符で埋め尽くされた。蓋が閉まらないではないか

「今日のアナタのフランケンシュタイナーは見事でした。ローキックとハイキックもなかなかで、一番はやっぱりヒールで足をグリグリされたのが一番気持ち良かったですけど」

それ、褒めてんの?

頬を赤く染めて熱弁する彼は、確かに女性陣がきゃあきゃあ言うだけあって格好いい。顔だけ人間が嫌いな私の最近の夢は、田舎暮らしだった。農家とかとっても素敵。将来は田舎で、牛蒡とか作って売りたい、というのが夢だ。

「あの、結婚を前提に付き合ってはいただきませんか」

「いやよ」

「……そうです、よね…。アナタみたいな人が、僕みたいな田舎者と付き合ってくれるわけがありませんよね…」

「は?」

「僕の実家。農家なんです。大学だって農大行ってましたし、ゆくゆくは父の後を継いで、農業するつもりなんですけどね」

「付き合いましょう!」

ビバ田舎暮らし!

すぐに夢を叶えてくれそうな人が、こんな近くにいらっしゃいました。

正直、私はこの時血迷った。

あれからというものの、しつこいメール攻撃に、しつこいアプローチに、とかなりしつこかったので、バックドロップからのとび膝蹴りを食らわせたら、余計に興奮した。




それから、三年後に結婚して田舎に越してから、可愛い娘が生まれて順風満帆だった。しかも、娘が成人を迎えて初めて連れてきた男は、色男で、あぁ私の家系ってもしかしたら、男に苦労するような遺伝子でも持ってたのかしらと、思い悩んだりもしたが、よくよく考えれば私の両親は至って普通だった。

「なんだかんだあったけど、あなたと結婚して、私はとっても幸せよ」

「……僕も愛してるよ!」

私は、そんな愛しくてしょうがない彼に、フランケンシュタイナーを食らわせた。

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