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第61話

ダンスパーティーの案内が全生徒に送られたみたいで、私は勿論のこと、アニーのところにも届きました。王城にいるシェリーにも届いていることでしょう。

案内によると、参加者は王立学校の生徒と先生方だけで、生徒の保護者は参加できないみたい。

ドレスは華美な物は控えるように書いてあるけど、そうもいかないんだろうなぁ。


シェリーのドレスは王家のほうで用意してくれると思うけど、アニーはどうするのかなぁ。

私は少し気になって、アニーが来たときに聞いてみました。


「ねぇ、アニーはダンスパーティーにどんなドレスを着ていくの?」

アニーのプライドを傷つけないように、言葉には気をつけないとね。

「以前エリエス様にあつらえていただいたオレンジ色のドレスをお直しして着ていきます。」

あのドレスか…。アニーのトラウマになってなくてよかったです。

「大事にしてくれていたのね。嬉しいわ。」

「エリエス様から初めていただいたプレゼントですもの、大事にしています。大人になって似合わなくなったら、大切に保管しておいて娘に着させようと思っているくらいですよ。」

アニーは笑顔で言うけど、流行も変わるし、そこまで大事にしてくれなくても…。


あれ?今、娘って言ったよね。

「レイモン家は貴族なのだから、子供には時代にあった新しいものを着せてあげたほうがいいわ。それより、アニーは娘がほしいの?婚約はまだよね?」

「男爵位をいただいたのは最近のことですし、婚約の話は今までありませんでしたね。ただ、ゆくゆくは愛のある結婚をして、女の子を1人は産みたいと思っています。一緒にお花を育てたり、花冠を贈りあったりして、幸せに暮らせたらいいなぁと思っています。」

アニーが夢見心地な表情で未来を語っている姿は、15歳の乙女そのもので可愛らしいったらないです。

火炎放射器みたいな魔法で納屋を焼き尽くした危険人物とはとても思えません…。


「アニーは好きな人はいるの?もしいるなら上手くいくように応援したいわ。」

するとアニーはみるみる赤くなります。

「その、見た目が素敵だなと思う人はいますけど、内面はまだわかりませんので…。幸せな結婚には内面の誠実さが大切だと思いますし…。」

アニーは内面重視なのね。15歳なのに堅実だわ。

ちょっと恋バナに飢えているので、もう少し突っ込んじゃいます。

「その見た目が素敵と思っているのは誰なの?」

少しの間があり、アニーは小さな声で答えました。

「秘密です。」

赤面して俯くアニーが可愛くて、もっと聞きたくなってしまったけど、このへんでやめておきます。

しつこいと嫌われそうだし…。


「そういえば、学生同士でのエスコートは自由みたいですけど、エリエス様はアーランド殿下と入場されるのですか?」

アニーは話題を変えたいみたいね。

「ええ、殿下からエスコートしたいとお手紙をいただいたし、そうするわ。」

手紙と一緒にライトブルーの高そうなドレスも送られてきたしね。

ドレスは華美な物は控えるって書いてあるのに、生徒会長が守らなくていいのかな…。

殿下は2年目だし、実際には豪華なドレスでくる令嬢が多いのを知っているのかもね。

律儀に守って、殿下の婚約者が地味な市販のドレスを着ていたら、逆に変な空気になっちゃうかもしれないし。


「恒例で初めに生徒会長がファーストダンスを踊って、2曲目から皆がダンスに参加すると聞きました。エリエス様と殿下のファーストダンスが楽しみです!」


そういえば、原作でもそうだった…。

殿下の誘いを断ってエリエスが参加しなかったから、殿下は生徒会役員のレイリー様に代役を頼むのだけど、何故かレイリー様にも断られてしまい、シェリーと踊ることになるのよね。これがきっかけで、シェリーは自分の恋心に気づき始める重要なイベントだったなぁ。


「みんなに注目されて踊るなんて、緊張して失敗してしまいそうだわ…。」

神託伝達のときは、話す内容が決まっていたから何とかのりきれたけど、ダンスは危険な香りがするよ。

「よければ、一緒に練習しませんか?実は私もエリエス様のレッスンを見て自主練習をしているだけで、ちゃんと踊れるか心配なんです。」

「そうね、そうしましょう!」

私はアニーと一緒にダンスの練習をするのを想像してワクワクしました。


その日から、午後の時間にアニーとダンスの練習を始めました。

男性役と女性役を交代しながらですが、慣れない男性役をしているときに、お互い何度も足を踏んでしまいました。

でも、そういうのも楽しくて、日々はどんどん過ぎていき、あっという間にダンスパーティーの日を迎えてしまいました。



当日は殿下が王家の馬車で迎えに来てくれました。

殿下のタキシード姿が格好良くて、ドキドキしてしまいます。

そのうえ、馬車の中では、「今日のエリエスは一段と美しいね。」とか言われちゃって、もうどうしていいかわからない状態になりました。


殿下にエスコートされながら会場に入るときには、物語のヒロインになったように錯覚してしまい、気分も舞い上がっていました。


学校長の挨拶の後、殿下の生徒会長としての挨拶が始まり、「明日からの学びの日々に向けて英気を養うため、今日は思い切り楽しもう。」という言葉で話は締めくくられ、会場には拍手歓声が鳴り響きました。


貴族の子息令嬢といっても、若い人たちが集まると盛り上がっちゃうよね。

私は学生時代を思い出し、この活気を懐かしく思いました。


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