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第58話

あたふたするアニーをよそに、私たちは入れ替わりました。

湖に落ちた時もそうだったけど、普通に見えるし聞こえるけど、自分の意思で体を動かすことができないし、言葉を発することもできない。

あぁ、あの時もこんな感じだったなぁ。一瞬のことだったから忘れてたよ。


状況に慣れると、エリエスはうまくやれるかが気になってきました。

私は伝わるかわからないけど、『がんばって!』と声にはならないけどエールを送りました。

すると、『うん』とエリエスの返事が胸に響いて驚きました。

普通にエリエスと心の中で会話できるの!?

確かに、何度かエリエスの声を聞いた気がしたことはあった…。

そうなら、もっと話しかけてくれればよかったのにと思ったけど、会話が苦手なエリエスだから私の価値観を押しつけちゃダメだよねと思い直しました。


私が話しかけているとエリエスがアニーと会話するのの邪魔になりそうだから、とりあえず大人しくしていようと思います。


「はじめまして、アニー様。」

ちゃんと丁寧に挨拶できた!私は我が子の成長を見守る親の心境になっちゃいます。

でも、私の時はもっと幼いしゃべり方をしていたような…。

思い出してみると、初めて何もない空間でエリエスと話したときは丁寧な話し方だったかも?

昨夜のエリエスは甘えた感じのしゃべり方だったような気もする。

エリエスにとって、私がお姉ちゃん的な甘えられる対象になっているなら、それはそれで嬉しいかな。


「はじめまして、エリエス様。呼ばれ方が急に変わるというのは不思議な感じですね。」

アニーはエリエスの顔をまじまじと見ながら言いました。

表情から感情が読み取りにくくなっているだろうからね。

『目は口ほどにものを言う』という言葉もあるくらいだから困るだろうに、アニーはそういう雰囲気を一切出さないでくれています。


「同じ呼び方をしないと困るかしら?」

「いいえ、呼び方が違うことで今までお会いしていたエリエス様と今のエリエス様を明確に判断できるので嬉しいくらいですよ。」

「それならよかったわ。ねぇ、アニー様のお父様が青い薔薇を開発したと聞いたのだけど、どうしたら新しい色の花をつくることができるのか教えてくださらない?」

早速、植物会話を切り出したね。世間話が苦手だから、まぁ予想の範疇だし、この手の会話はアニーも好きなはず。


「私もお父様から聞いただけで実際に開発には関わっていないのですが、薔薇に似た青い花をつけるブルーロディアの花粉を人工的に受粉させることを繰り返したそうです。その前にも様々な花を試してみたようですけど、失敗続きで諦めかけていたときに奇跡的に成功したみたいです。」

エリエスの興奮が伝わってワクワクしてきました。

私がエリエスのときよりも、ダイレクトにエリエスの感情が伝わってくるみたいだね。

そう思うと、私の感情がエリエスにダダ漏れだったことになり、なんか恥ずかしくなりました。

でも、前世で通級指導教室を担当していたとき、こんな手法がとれたなら、他者がどんな感情を抱いているか感じとる訓練には最高だったかもしれません。


「他の花との配合種だったのね。では青い薔薇と言われているけれど実際は新種の植物に分類されるのかしら。どんな性質をもっているのか、触って確認してみたいわ。」

なんかエリエスらしいね。青い薔薇がそうとう気になっていたのね。


「では、明日お持ちしますね。私にもどのような性質をもつのか是非教えてくださいませんか?」

なんかアニーも楽しそうだなぁ。ちょっとジェラシー感じちゃうかも…。

私の親友のアニーなのにって思っちゃうのはよくないことなんだけど。

どうしても女3人集まると、2:1構図ができちゃう昔の嫌な記憶が…。

そんな醜い関係は嫌なので、私はエリエスの成長を見守るお姉ちゃんのスタンスでいくことを決意しました。


「もちろんです。知識を共有できるのは楽しいですからね。」

「そうですね。なかなか植物のことを楽しく話せるご令嬢はいませんから、エリエス様とこうしてお友達になれて嬉しいです。」

あ、エリエスが照れてる。嬉しいのにうまく言葉にできないみたいでもどかしいなぁ…。


「アニー様、青い薔薇のお礼に、侯爵家に根付いている特別な植物を教えてあげますね。」

そういうと、エリエスはスタスタと歩き出しました。

アニーが慌てて後を追います。

それにしても特別な植物とは?

また共有できていなかった知識だとすると、冷血草が侯爵家に生えているってこと!?


エリエスは庭園を抜けて裏庭のほうに歩いて行きます。

侯爵家の敷地は結構広いので、私も全貌は把握してないので興味津々です。

裏庭は雑草を刈り取っている程度で庭園のような特別な手入れはされていませんでした。

エリエスが向かったのは邸宅からだいぶ離れたところにある、小規模な林でした。

朝に鳥の鳴き声をよく聞くのは、この林から届いたものだったのかもしれません。

林には道は整備されていないのに、エリエスは下草を掻き分けて入っていきます。

アニーもスカートの裾を手で押さえて、枝で引っかけないように後を追います。

アニーに申し訳ない…。服が破れたりしませんように。


進んでいくと、少し開けた場所にでました。

中央に見慣れない木が1本、その根元には見慣れない植物が繁殖していますが、そのうちの1つは冷血草だと思われます。こんなに近くにあったのね…。


エリエスはアニーの方を振り返ると、中央の木に手をついて「この木です。」と言いました。


(マナの木 周囲のマナを吸収する 枝は魔法の触媒となり発動を補助する)


え、魔法の触媒!?


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