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第39話

カインが一命を取り留めた安堵感から、少し冷静になってくると周囲の声が認識できるようになってきました。


「エリエス様も光っていたけど聖女だったの?」

「2人の聖女様が協力してカイン様を救ったのよ」

「この国の未来は明るいな。王妃が神の祝福を受けているのだから。」


なんかカインが殿下みたいに、とろけそうな表情で私を見てくるけど、それどころではない。


私は脳内で必死に状況を分析してみました。

エルネシア様の祝福の力とは前世だと電池に蓄えられた電力みたいなもので、私がシェリーに触れたことで直列つなぎみたいになって出力が上がったみたいな?

私の祝福の力も活用できたから、シェリーは気を失うことなくカインの命を救うことができたということ?


この仮説が合っているかどうかよりも、今の状況のほうが大問題です。

恐る恐るシェリーを見ると、激戦をともに生き抜いた同士を見るような表情で口を開きました。

「嬉しいです!エリエス様もギフテッドだったのですね。」


うわぁ、逃げ道がない…。

タイミングを見計らって殿下には伝えようと思っていた私の計画は完全に崩れ去りました。

私は言葉に詰まって、どうしていいかわからず、突飛な行動にでてしまいました。


一時撤退。


今、何か言ったら墓穴を掘りそうで、とりあえず私はこの場を離れようと決断しました。

「シェリー、ごめんなさい。」

そう言い残して、私は人垣に向けて走り出しました。

突っ込んでくる私に驚いて、人垣が割れ、私の進む道が切り開かれていきます。

人の輪の外に出ると、背伸びして中の様子を確認しようと頑張っているアニーの姿が目に入ったので、私はアニーの手をとって、「一緒に来て!」と叫び校門の方角に走り出しました。


アニーは何が起きているかわからない状況でも、文句一つ言わず一緒に全力疾走してくれました。もう、本当にアニーは最高だよ。


私たちは校門を出ると待機していたグリーンウッズ侯爵家の馬車に飛び乗りました。

中で待機していたシエナが驚いて「お嬢様、何があったのですか!?」と聞いてくるけど、それには答えず、私は御者に「すぐに出して!」と伝えました。


だんだん遠ざかっていく校門を見ながら、少しずつ荒い息づかいもおさまっていき、心に余裕がでてきました。


シエナが心配そうに改めて聞いてきます。

「お嬢様、誰かに追われているのですか?」

たしかに、そういう状況に見えるよね。逃げてきたのは確かだし…。


「みんなに知られてしまったの。私がギフテッドだということを。」

「えっ!お嬢様、ギフテッドなのですか!?」

勢いで言ってしまったけど、シエナにはまだ伝えていなかったね…。


シエナは、心配そうに私を見ているアニーを確認したあと、視線を私に戻すと悲しそうに言いました。

「アニー様も知っているのに、私には教えていただけなかったなんて。お嬢様は私を信用していないのですね。」

あぁ、この混乱した状況で、別の問題が発生してしまったよ。


「シエナのことは信頼しているわ。」

「では、どうして言ってくださらなかったのですか?」

納得のいかないシエナは目を潤ませて再度聞いてきます。

私は余裕がなくて、つい正直に答えてしまいました。

「だって、シエナはつい口を滑らせてしまいそうだから…。」


口をあんぐりと開けてショックを受けたシエナは、その後いじけてブツブツ言い出しました。

「やはり、私は信頼されていないのですね…。」


小声だけど、しっかり聞こえているのだけど…。

「シエナのことは信頼しているわ。ただ、少しそそっかしいところがあるでしょ?だから伝えるのは、もう少し知っている人を増やしてからにしたかったの。ごめんね、傷つけるつもりはなかったの。」

私は揺れる馬車の中、立ちあがってシエナを両腕で包み込みながら、諭すように伝えました。

私の言葉で機嫌をなおしたようで、シエナはいつもの明るい表情に戻りました。

「伝えてくれる予定ではあったのですね。それならいいのです。私だけ仲間はずれかと思ったら悲しくなってしまいまして。」


シエナって、前世の私と同じ年齢のはずだけど、結構子供っぽいところあるよね。


侯爵家に到着すると、私はお母様にも参加してもらい作戦会議を開くことにしました。

メンバーは私とお母様とアニーとシエナです。

そもそも今までギフテッドだったことを公にしてこなかったことは問題じゃないのかも、私は知らないのです。

みんなのもっている、この世界の常識という名の知識が、今の私には必要だった。



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