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第35話

入学から1週間が経ち、学校生活にもだいぶ慣れてきました。

私はアニーとシェリーと3人で基本的に行動していて、他のご令嬢との接点は今のところありません。


たまに小声で私たちの噂話をしているのが聞こえちゃったりします。

「エリエス様、変わったよね」とか「話しかけてみる?」みたいなのはいいんだけど、「あの2人、侯爵令嬢と懇意にするなんて身の程知らずだわ」みたいなのは嫌な気分になります。

まぁ、威圧したり喧嘩するのも気が進まないので、今のところはアニーとシェリーには「ああいうのは気にしないでね。」とか「2人は私の大切な友達よ。」と伝えて、安心してもらうようにしています。


入学後、初の週末休みとなりましたが、そのタイミングで殿下とのお茶会が設定されていました。

毎回、貴重な休みの日に会ってくれていたんだなぁと思うと、感謝の気持ちがわいてきます。


いつものガゼボに到着すると、殿下が笑顔で迎え入れてくれました。

「エリエス、よく来てくれたね。」

ボート上で約束してから、お茶会のときは呼び方が変わったので、初めのうちは赤面してしまいましたが、今では私もだいぶ慣れたものです。

「ランディ、お忙しいのに、いつもお茶会の時間をつくっていただいて、ありがとうございます。」

殿下のほうが慣れるのに時間がかかっているようで、未だ愛称呼びで赤くなっているのが可愛いです。

「この時間は私にとって大切なものだよ。2人きりで会える機会を貴重だからね。」

王宮メイドさんとシエナがそれぞれの後ろに控えているけどね…。

殿下の甘々な発言は嬉しいけど、しっかり聞かれちゃうから恥ずかしさが倍増します。


「学校生活にはもう慣れたかい?」

「はい。聖女様ともお友達になりました。」

「そのようだね。彼女が学校に馴染めるか心配していたのだけど、エリエスが側にいてくれているようで安心しているよ。」

「ただ、身分差を気にする生徒は少なからずいるようです。」

「その点は、なかなか解決が難しくてね。生徒会でも永遠の課題とされているよ。」

まぁ、いずれシェリーについては、ある事件をきっかけに風当たりは弱くなるはずだけどね。


「その問題解決にも関わるのだけど、一つ提案があるんだ。」

「どのような提案ですか?」

「エリエスにも生徒会役員になってほしいんだ。シェリー嬢やアニー嬢と仲良くしているエリエスが生徒の模範となる生徒会役員になることは、階級意識改善に繋がると思っていてね。」


なるほど、一理あるよね。

王立学校は2年間で卒業だから、今は殿下の学年の生徒会役員だけで人数的に手薄になっているだろうし。

でもなぁ…。正直受けたくないのよね。

原作通りなら、アニーは緑化委員に興味をもっているはずなんだけど、下校時間がずれるから私に遠慮している可能性が高い。

私としても、エリエスが喜ぶだろうし緑化委員には興味があるから、私のほうからアニーを誘おうと思っていたところなんだよね。

一緒に帰るのも続けたいし、生徒会は遠慮しておきたい。

ここは正直な気持ちを伝えておこうと思いました。


「生徒会にお誘いいただいたのは大変光栄なことなのですが、辞退させていただけないでしょうか。」

殿下が切なそうな表情に変わったので、心が痛いです。

「理由を聞いてもいいだろうか?」

「アニーと一緒に緑化委員の仕事を務めたいと考えていました。ですから、放課後に時間をとることができないのです。申し訳ありません。」

私も申し訳なさからシュンとした顔になっていたと思います。

「いや、正直に言ってくれてありがとう。私も1年生のときに先輩を差し置いて生徒会長を打診されたときは断りたかった。立場的に断ってはいけないように思って引き受けたが、エリエスのように正直に答えるべきだったと今は思うよ。そうすれば副会長くらいには状況が変わったかもしれないからね。」

そう言って殿下は笑ってくれたけど、頑張っても副会長にはされちゃうのかぁ。やっぱり殿下は大変だよね。

そんな殿下の力になってあげられないのが心苦しい…。


「あの、生徒会役員にはなれませんが、殿下がお疲れのときや困ったときには私を頼ってください。愚痴を聞くことくらいはできますので。」

殿下は私の言葉が嬉しかったようです。

「では、遠慮なくエリエスに甘えにいくよ。」

そう言って、私を穏やかな表情で見つめてきました。

見つめられるのは慣れなくて、私は赤面してしまうのでした。


ちなみに、緑化委員の仕事とは、校内に数多くある花壇などの管理です。

庭園は専門の庭師が担当していますが、中庭や食堂のテラス、校門から校舎に続く道など、いたる所に花壇があって、その管理は生徒の自主的活動でまかなわれているようです。

実際にはどの花の種を植えるかを計画して学校側に提案するだけでもいいみたいだけど、原作でのアニーは自ら手入れまでしていた。さすが私のアニーです。


休みも終わり、登校中の馬車の中で私はアニーの気持ちを確認してみました。

「ねぇ、アニー。私は緑化委員の仕事に興味があるのだけど、アニーはどうかしら?正直な気持ちを教えてほしいの。」

アニーは私の言葉に驚いたようでした。

「実は私も興味をもっていました。もし、エリエス様と一緒にできたら嬉しいです。」

よかった。やっぱりアニーは花を育てるのが大好きだもんね。

「私もアニーと一緒に活動できるなら嬉しいわ。では、今日の放課後、緑化委員の活動場所を訪ねてみましょうか。」

「はい。」


ウキウキしているアニーの姿にホッコリします。


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