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第34話

私を真ん中にして3人で座ったところで、担当の先生がいらっしゃいました。

先生から学校生活のルールや明日から始まる授業についてなどの説明があり、改めて学校内では爵位による上下関係はないということを念入りに注意されました。


まぁ、シェリーも在籍しているし、アニーも立場は弱いのでありがたいです。

前世の記憶から一人ずつ自己紹介とかあるのかなと思っていたけど、そういうのはないみたい。

入学前から貴族令嬢はお茶会や読書会で人間関係を広げているものだしね。

例外は私とアニーとシェリーくらいなものでしょう…。


先生の説明を受けている間、シェリーは私たちのほうをチラチラ気にしている様子でした。

知り合いもいないし、周り全体が身分違いだから、友達ができるか心配なのだろう。

あとで話しかけてあげようと思います。


その後は先生に連れられて校内施設紹介に出発しました。

図書室や食堂はあるものの、体育の授業は存在しないのでグラウンドはありませんでした。その代わりに立派な庭園があり、色とりどりの花が咲いていてエリエスの興奮が伝わってきました。

アニーも目を輝かせて見入っていて、微笑ましい光景でした。


一応、参加は自由なのだけどクラブ活動的なものもあって、乗馬用の馬場と厩舎やダンスの練習場、音楽室、刺繍室なども完備しています。


移動中は先生の手前、皆お喋りなどはせずに静かに行動していましたが、懇意にしている令嬢同士でかたまって移動していました。

私とアニーは当然横並びで歩いていましたが、すぐ後ろをすりこみされたヒヨコのようにシェリーがついてきています。


「よければ、一緒に見て回りませんか?」

私が声をかけると、シェリーはパーっと花が咲いたように笑顔になりました。

「はい。よろしくお願いします。」


入学初日からシェリーとお近づきになれたのは嬉しいなぁ。

ちゃんと関係を築いておけば、断罪の可能性も下げられるはずだし、損得無しでもシェリーがいい子なのは原作で把握済みなんだから、友達になりたいもの。


施設紹介から戻ると、今日はもう下校してよいことになりました。

興味のある生徒は、これから各クラブを訪問してもいいと言われたけど、私は今のところクラブに参加する予定はないのよね。

刺繍は上手くなりたいけど、趣味かというとそうでもないし。

殿下も参加はしていないみたいだしね。

アニーにも聞いてみたけど、今のところクラブに参加する予定はないみたい。

なので、下校する前にシェリーに自己紹介しておこうと思っていたら、シェリーのほうから話しかけてきました。


「あの、今日はありがとうございました。私、シェリー・ブラウンです。これから仲良くしてもらえたら嬉しいです。」

シェリーは緊張した面持ちです。


私はアニーと顔を見合わせて、お互い笑顔で頷きあいました。以心伝心です。

「私はグリーンウッズ侯爵家のエリエスです。私もシェリーとお友達になりたいと思っていたのよ。」

「私はレイモン準男爵家のアニーです。私もエリエス様と同じ気持ちですよ。」


私たちの言葉を受けても、シェリーの表情は晴れませんでした。

「実は私、貴族でもないんです…。それでもお友達になってもらえますか?」

シェリーは目をギュっと瞑って、一世一代の告白をするかのようでした。


「知っていたし、そのうえで友達になりたいと思ったの。この学校では身分差は関係ないのだから、そんなこと気にしないわ。」

「私も貴族令嬢になったのは最近のことですし、身分的にも平民と大差ないのよ。それに、エリエス様は爵位で人を判断するような人じゃないから安心して。」


今度こそシェリーは安心したのか、その顔に笑顔が戻りました。

それから嬉し涙だと思うのだけど、急に涙を流し始めたので、私とアニーは動揺してあたふたしてしまいました。


シェリーが落ち着いたところで、下校しようということになりました。

シェリーは学生寮を利用しているらしく、そちらに戻るようです。

アニーは乗合馬車で通学すると言っていたので、私の送迎の馬車に少し寄り道してもらって、アニーも送迎してあげることにしました。


そんなわけで、私はアニーとともに侯爵家の馬車に乗り込みました。

馬車にはシエナが同乗して学校まで付き添ってくれます。


馬車での移動中、心配そうにシエナが話しかけてきました。

「お嬢様、入学初日はどうでしたか?」

「お友達が1人できたわ。」

もう昔の私じゃないのよ。シエナが心配するのもわかるけどね…。


私の満足そうな顔をみて、シエナは微笑んでいました。


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