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第31話

私が落下したあと、殿下とカインが救出のために湖に飛び込んでくれたとのことでした。

実際に私を引き上げてくれたのは、運動神経抜群のカインだったと聞いたので、後にしっかりとお礼をしないとと思います。

私は目覚めた後も意識は朦朧としていて、その場に王宮医が駆けつけて診断してくれました。


命に別状はないと診断されたため、その後は担架で馬車に移されて侯爵家に移送されました。移動中は殿下とアニーがそれぞれ私の手を握って、励ましてくれていました。

また、カインも心配そうに私の様子を見ていてくれていました。

3人には心配をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです。


侯爵家に到着したところで、お母様やシエナ、庭師のおじいちゃんや使用人の皆さんに囲まれ自室まで運ばれました。

お母様は泣きながら私の手をずっと握ってくれていました。

シエナも自分が何もできなかったことを悔やんで泣いていました。

その場にいなかったんだから、しょうがないのに…。


ベッドに寝かされた後も、お母様はずっと側にいてくれて、叱るどころか私の無事を神様に祈ってくれています。

少しすると、お父様が駆け足で私の部屋に入ってきました。

まだ仕事中だったろうに…。

見通しが狂うのを嫌うお父様だけど、このときばかりは顔は青ざめ酷く動揺していました。

「エリエスは大丈夫なのか?」とお母様に詰め寄る姿を見て、ちゃんと心配してくれるんだなぁと安心した気持ちにもなりました。


一晩しっかりと寝て元気をだいぶ取り戻したけど、絶対安静ということでベッドから降りることもできずにいます。

お母様とシエナは夜を徹して側にいてくれました。

2人とも目に隈ができているし、自室で休んで欲しいとお願いしたけど聞き入れてもらえませんでした。

お母様に「約束を守らずに危ないことをしてしまってごめんなさい」と伝えると、「あなたが生きていてくれただけでいいのよ」と優しく額にキスしてくれました。


私はエリエスに『私たち、愛されているね。』と語りかけると、トクンと穏やかな鼓動が返ってきました。



その日は、次から次へとお見舞いに人が訪れました。


朝一番にやってきたアニーは、私の無事を確認すると、我慢していた涙が堰をきったようにこぼれ落ちて、しばらく泣き続けていました。


「エリエス様、私をおいていかないでください。エリエス様がいないと、私がんばれません。」

アニーが弱気なことを言うので、改めて私の気持ちを伝えます。

「私だって、親友のアニーをおいていったりしないよ。対等な親友になるまで協力を惜しまないって決めたんだから。」

そう言って笑いかけると、アニーは目を潤ませながらも決意を込めた目で頷き返してくれました。


次に来たのは、殿下と王妃様でした。

まさか王妃様までお見舞いに来てくれると思っていなかったので驚いてしまいました。


殿下は侍医から順調に回復に向かっていると聞いて安堵の溜息をつくと、申し訳なさそうな顔で私の手を握りました。


「ボートになど誘わなければよかった…。それに一番近くにいながら、私はエリエスを助けることができなかった。本当に申し訳ない。」

殿下の後悔の念が痛ましくて、私は殿下の手を両手で包み込みました。

「殿下のせいではありません。私が不注意で軽率な行動をとったのです。それに、殿下も湖に飛び込んでくれたのでしょう。私はそれだけで十分に幸せです。ボートに誘ってくれたのも嬉しかったのですよ。出発のときなど、心が躍っていたのですから。」

私が笑顔を向けると、殿下も目を潤ませて笑顔をつくってくれました。


それを見ていた王妃様から話しかけられました。

「あなたが無事でよかったわ。ランディを支えていけるのは、あなたしかいないのだもの。」

「この度は私の不注意で殿下を危険に晒してしまって、申し訳ありませんでした。」

私は今回の不祥事を謝罪しました。

「謝らないでいいのよ。私はもう、あなたのことを自分の娘のように思っているのだから。今はただ、無事でいてくれたことが嬉しいの。」

慈愛に満ちたその言葉に、私は心が震えて目が潤んでしまいました。


次に来たのはカインでした。

私の様子を伺うと、少し安心したようでした。


「元気になってきたみたいだな。」

ぶっきらぼうだけど、優しさがしっかり感じられる言葉でした。

「カイン様が助けてくれたのですね。ありがとうございました。それに、今まで散々失礼な態度をとってしまい、すみませんでした。今後は敬意をもってお付き合いさせていただきます。」

私は今までのことを謝罪しました。

「よせよ、今更変えられたら気持ち悪いぜ。」

「それもそうですね。あの…、カインはアニーのことを好いていますか?もしそうなら応援しようかと。」

「はっ!?なんでそうなるんだよ、俺が好きなのは…」

「好きなのは?」

「言う訳ないだろ」

折角応援してあげようと思ったのに素直じゃないんだから。

でもまぁ、カインは私の知っている頼りになる優しいカインだったことがわかって嬉しい。

ちゃんと推しNo.2に戻してあげようと思いました。


後日、全快した私はしっかりとお母様にお叱りを受けました。

『生きていてくれただけでいい』って言ったのに…。


でも、叱られるのも愛されているからなのかなって思えるようになれました。


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