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第28話

王家の馬車から降りてきた殿下とカインが改めて私たちを出迎えてくれました。

殿下はまだ頬を赤らめているし、カインは視線を合わせないようにしているのだけど。

過剰反応では?と思いつつアニーを見ると、アニーも頬を赤らめている。

私だけ別の常識で生きているのを改めて実感しちゃいましたよ。


とりあえず気を取り直して、まずはアニーを紹介しないとね。

「殿下、こちらは私の親友のアニー嬢です。」

するとアニーは淑女の礼をして挨拶します。

「レイモン準男爵家のアニーと申します。本日は殿下主催の催しに参加をお許しいただきまして、誠にありがとうございます。」


完璧だよ、アニー。

私は娘の成長を喜ぶ親のような気分になり、心の中で賛辞を送りました。


「アニー嬢、そんなにかしこまらないでください。今日はエリエス嬢の親友に会うことができて嬉しいです。今後は私とも懇意にしていただければと思います。」

殿下の美しい緑色の瞳を向けられたうえに笑顔で優しい言葉をかけられたものだから、アニーがポーっとなってしまってます。

私がコホンと咳払いすると、アニーは慌てて返事をしました。

「こちらこそ、懇意にしていただけたら嬉しく思います。」


うんうん、よくできました。ついでにカインも紹介しておかないとね。

「アニー、こちらがロードナイト伯爵家のカインよ。」

「おいおい、俺の紹介、適当すぎるだろう。」

アニーが丁寧に挨拶する間にカインを軽く睨んでおきます。

「爵位の差があるからといって、アニーに対して失礼な言動があったら許しませんよ。」

カインにしっかり釘をさしておきました。

「そんなことしねぇよ…。」

カインは拗ねてソッポを向きました。


その後、私は殿下の手をとって馬車に乗り込みました。

アニーはカインの手をとって後に続きます。

馬車は豪華な作りで3人ずつ向かい合って座ってもゆとりがありそうです。

王家の紋章もさることながら、メイドさんやお茶会道具などを乗せた馬車が後ろに続き、取り囲むように護衛の騎士が6名も馬に乗って同行するようで、目立つことこの上ないです。

これは、気楽に遊べないのでは…。


馬車が侯爵家をあとにして、目的地である城下町の西の外れにある公園地区に向かって走り出しました。

馬車の中では私の隣にアニーが座り、正面に殿下、アニーの正面にカインが座っています。


「エリエス嬢、普段のドレス姿もいいが、今日のような平民風でありながら清楚さを失わない服装も大変似合っていて魅力的だよ。」

殿下が顔を赤らめながら、問題となった服装を褒めてくれました。

素直に嬉しくて、私も顔が熱くなっちゃいました。殿下はやっぱり推しナンバー1です。

「でも、これからは私以外に足を見せるのはやめてほしい。その、嫉妬してしまうから…。」

アニーは恥ずかしそうに顔を伏せているけど、私は殿下の可愛い発言にテンションが上がってしまいました。

「わかりました。今後は気をつけます。」と約束しました。


「別に見たくて見たわけじゃないからな。」

カインの余計な一言に殿下が一睨みすると、カインは視線を窓の外へ向けてしまいました。

私たちの足を凝視してたの知ってるんだからね!

せっかくの嬉しい気持ちを壊されて、また圏外にランクダウンです。


「話は変わるが、実は生徒会で今検討している事案に、王立学校の制服導入というのがあるんだよ。」

「そうなんですね。どうして制服を導入することになったのですか?」

私の知る原作では登場人物は当然のように制服を着ていたけど、まだ導入されてなかったのね。

「学校では爵位による上下関係を廃して、全生徒が平等な関係であると生徒会規約にもあるのだけど、実際には難しくてね。豪華なドレスで自分のほうが上だと誇示しようとする令嬢も少なくないんだよ。しかも来年度にはギフテッドであることから平民出身の聖女が入学することになっているんだ。」

「なるほど、聖女様は豪華なドレスを用意することはできませんものね。それならば、制服を導入するのはいい案だと思います。」

「そこでだけど、今日のエリエス嬢とアニー嬢が着ているブラウスにスカートの組み合わせは女子の制服にいいと思ったんだ。動きやすそうだし、清楚さも感じる。スカート丈も平民服に近いがブーツで素足は隠しているから貴族の基準でも問題はないからね。」


「お母様に叱られてしまった服装ですけど、大丈夫でしょうか?」

私は心配になって確認してみました。

「それは、足を隠してなかったからだよ…。今の状態なら行っていいと言われたのだろう?」

「はい。」

「グリーンウッズ侯爵夫人としても、問題なしと判断されたんだよ。それで、後日その服装を提案資料として貸してもらえるだろうか?」

「わかりました。喜んでお貸しいたしますわ。」

私が笑顔で了承すると殿下も嬉しそうに笑ってくれました。


「アニー、私たちの服が制服になるかもしれないわ。名誉なことね。」

私が話を向けると、アニーも恥ずかしさから抜け出せたようで、ニコリと笑顔を返してくれました。

その愛らしい笑顔をカインが盗み見ていたのを私は見逃しませんでした。

うーん、カインがアニーを好きになったらどうしよう?

アニーも好きになって相思相愛なら応援するけどね。ちょっと複雑な気分。


それにしても原作の制服とデザイン変わっちゃうけど大丈夫なのかな?

私がエリエスになったことで、今後もいろいろと原作から外れていくのかと思うと、不安な気持ちにもなるんだよね。



それからしばらくして、馬車は目的の場所に到着しました。

王国民の憩いの場所だというのに、湖畔エリアを今日は立ち入り禁止にしているみたい。


王子様が行くので封鎖するのはわかるんだけど、やっぱり気が引けるよね。


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