あの時、自分は彼女に何ができたのか?
“あの時、自分は彼女に何ができたのか?”
これは自分が実際にあった話です。
当時、自分がまだ20代前半だったと思う。
彼女が居たけど? まだ若くて男友達と一緒に遊んでる方が
凄く楽しくて、あまり彼女を大事にしていなかった。
・・・でもある日、彼女とデートをしていたら?
彼女からこんな事を言われる。
“この前さ、健康診断で少し悪いところがあるんだって! だからほんの
少しの間、病院に入院していろいろ検査してもらう事になったの!
でも大した事ないからあんまり心配しなくていいよ。”
“あぁ、そうなんだ! 分かった。”
あの時の自分はバカだから、彼女の言った言葉をそのまま受け止めてしまう。
その後も自分は男友達と遊びまくっていて、彼女と会う事がなかった。
久しぶりに彼女に連絡をしたら? まだ病院に入院していると彼女は言う。
その話を彼女から聞いて、なんかおかしいとやっと気づいた!
だから直ぐに彼女が入院している病院にお見舞いに行ったら、、、?
顔色が悪く、少し痩せこけた彼女がそこに居て......。
これは普通の病気じゃないと気づいた自分は、、、?
彼女になんの病気か聞いたんだ。
そしたら? 彼女は医師から病名を聞いていたらしく素直に教えてくれて、
“○○の初期の癌なんだって、”
“えぇ!?”
当時は携帯もない時代で、直ぐに本屋に行って彼女の病気の事を調べた。
今だったら? “初期の癌なら治る病気なのかもしれないけど、、、?”
当時は、まだまだ治る病気ではなく抗がん剤を飲んで治すしかなく、
生存率は30%とかしかなくて、それでも治療しないと治せないし。
そこから時間がある時は、毎日彼女の居る病院にお見舞いに行ってたん
だけど? 日に日に弱っていく彼女を見るのが辛くて何度か逃げてしまった。
お見舞いに行けなくなった時もあったし、それでも何時彼女が亡くなって
しまうか怖くて、涙を堪えてお見舞いに行った時もあった。
・・・そのうち、彼女が頭に帽子を被っていて自分にこう言った。
“実はね、髪の毛全部切っちゃった!”
“えぇ!?”
“今は、丸坊主なんだよ。”
“・・・・・・”
勿論! 自分も本を読んで分かっていた。
抗がん剤のせいで髪が抜ける事、でもまさか? 大好きな彼女の髪がなくなる
なんて想ってもみなくて、でも彼女の目の前で泣く事も出来ないし......。
“そっか、似合ってるよ。”
“本当!? 嬉しい!”
なんか? そんな風に彼女に言わせてしまった自分に腹が立った!
【嬉しい】訳がないじゃないか!
彼女は髪を伸ばしていたし、凄くキレイな黒髪だった。
そんな彼女が丸坊主になったんだ!
嬉しいはずがない!
*
・・・でもどんどん彼女は痩せこけて、抗がん剤のせいで気分が悪い時もあり、
自分と会ってもらえない時もあった。
嘔吐や頭痛、体中の痛み。
自分でよければ変わってあげたいけど? 変わる事も出来ず苦しむ彼女を
見てもう耐えられなくて、また逃げてしまう。
少しの間、彼女に会う事が出来ずお見舞いに行けなかった。
でも? やっと心の準備が出来て彼女に会いに行けた時には、
もう彼女は亡くなる前で、、、。
“久しぶりだね、”
“ごめん、ごめんな、本当にごめん、”
“なんで謝んのよ、もう謝んなくていいから。”
“・・・ううん、”
“私が亡くなったら、他の女性と幸せになってね!”
“えぇ!?”
“私以外の女性と、ちゃんと結婚して幸せになってほしい!”
“分かった、今はそんな話はいいから! 早く元気になって、”
“・・・ううん、そうだね、”
“うん、”
もう病気が治る事はないと彼女は分かっていたんだと思う。
だから最後に、自分にあんな事を言ったのだろう。
・・・その後、彼女は亡くなって。
あの時期自分は、一生分の涙を流し“死”についてあんなに考えた事はない!
自分も彼女が亡くなった時、本気で死のうと想ったし。
死んでもいいと想った。
でも死ねないまま今も自分は生きている。
“だからせめて! 自分は生涯独身でいると自分の心に誓った!”
全ては亡くなった彼女の為に。
でもきっと、亡くなった彼女は自分にそんな事を望んでないと思うけど、
それでも自分が納得できず!
今もずっと一度も結婚せず、独身でいるんだと思う。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。