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使者が来たよ。

 サツキナ姫は18歳になった。

 この世界では18を過ぎると成年となる。城では成人祝いが行われ、ゼノン大神殿でサツキナは成人の誓いを立てた。居並ぶ国の重臣や貴族達はサツキナ王女の18歳とは思えない落ち着きと凛々しさに感嘆の声を上げたのだった。(苦労ばかりをしているから……)



 その数日後、待ち望んだブルーナーガからの使者がやって来た。

「至急」。

 ルイスの送った書簡にはそう書かれていたから、オルカ国では超特急で対応がなされたのだ。



「何故ブルーナーガの使者が?」

 突然やって来たブルーナーガの使者にダンテ王は首を傾げた。

 シャーク宰相の書簡を開いたダンテ王は驚きの余りに椅子から立ち上がった。

「ブルーナーガのオルカ王と言ったら連合国家の王ではないか。その宰相の息子殿がサツキナを嫁に??」

「それも結納金は800万ビルドだと?!」

 まるでどこかで帳尻を合わせた様にリエッサ王妃が要求をして来た額と同じ。

 嘘みたいな話。



「うーむ。しかしどこでその息子殿はサツキナを見たのか……」


 使者はすらすらと答えた。

「セノン神殿にいらっしゃったサツキナ姫を見て一目惚れをなされたそうです。是非、私の妻に欲しいと」


「返事は数日待ってくれ」

 そう言って王はサツキナを呼び出し、ブルーナーガからの使者が来たことを伝えた。



 サツキナは「あらまあ。何と。はい。私は嫁ぎます」と即答した。

 ダンテ王はそれにもびっくりした。


「いやいやちょっと待て。お前はそのシャーク宰相のシンジノアという人を知らないだろう? 儂も知らん。一体どういうお方か全く知らないで、そこにお前を嫁に行かせる訳にはいかぬ」

 ダンテ王は言った。

「あら? だったら、アクレナイト侯にでもお聞きすれば宜しいのでは? アクレナイト侯なら海賊征伐で何度もブルーナーガに行っていらっしゃるだろうし、きっとオルカ国の事もよくご存じでは?」


 そんな訳でダンテ王は次にルイスを呼び出した。

「かくかくしかじかで……それで、アクレナイト侯はそのシャーク宰相のお子であるシンジノア様をご存じであるか?」

 ダンテ王は尋ねた。800万ビルドの結納金に関しては黙っていた。



 ルイスはにっこりと笑って、シンジノアについてサツキナに説明したのと同じ事を言った。

「大変、素晴らしい人物です」

 ダンテ王は胡散臭げにルイスを見る。

「サツキナを大神殿で見たと言っておったが……」

「成程、そうですか」

 ルイスはあくまでも柔和だ。

「サツキナをどこかに早く嫁にやった方がいいと儂は思っておるのじゃ。」

 ダンテは言った。

「だったら、ダンテ王、これは渡りに船ですよ」

 ルイスはつい満面の笑みで返してしまった。



 ダンテ王はその笑顔を訝し気に見る。

(何でお前がこんなに嬉しそうなんだ? おかしいだろう?)

 ますます胡散臭い。


 自らの失態に気付いたルイスは顔を引き締める。そして「こほん」と咳払いをする。

「いや、私は事実を話したまでです」

 いつもの無表情でルイスは言った。

 その顔をダンテ国王はじっと見詰める。


 しかし、サツキナを早く嫁がせないと、またお前の婚約者であるリエッサ王妃から人質だのなんだのと要求される。だが見ず知らずの男に話だけで嫁がせる訳には……。

「ロベルトを呼べい!」

 ダンテ王はそう言った。


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