シンジノア・シャーク
ルイスは拳を握ってシンジノアを睨み付けている。
サツキナは茫然としてルイスを見ている。どうして彼がここにいるのか分からなかった。
それもさっきシンジノアを「兄上」と呼んだ。
「これはこれは。ルイス・アクレナイト侯ではありませんか。何故、ここに?」
シンジノアの目は面白そうに笑っている。
「ふざけるのもいい加減にしてください! いつになったら私を呼ぶのかと待っていれば……サツキナ姫にキスをしたり、抱き上げてベッドに運ぼうとしたり、あまつさえ指輪まで渡そうと言うのですか? もう、我慢の限界です! 早くサツキナ姫を下ろしてください。彼女は私の花嫁です!」
サツキナは何が何だか全く分からず、シンジノアの腕の中で茫然とルイスを見ている。
ルイスはサツキナを睨んで冷たく言った。
「サツキナ姫。あなたもあなただ。いつまでもその男の首に腕を回していないで、さっさと降りなさい」
サツキナはあたふたとシンジノアから降りる。
「言って置くがキスは頬だ」
シンジノアは笑いながらそう言うと声を上げて笑う。もうおかしくて堪らないと言う風に体を折り曲げて笑っている。
茫然と突っ立ているサツキナの前にルイス・アクレナイトは近付く。そしてその手を取って言った。
「サツキナ姫。この男は私の兄のルイス・アクレナイトです。そして私こそがシンジノア・アクレナイト。私のもう一つの名がシンジノア・シャークなのです」。
サツキナはじっとルイスを見詰める。
「えっ?……は、はあぁっ?」
自分でも驚く程の大声が出た。




