ミランダ姫 再び
その頃ミランダ王女一行はようやくサスの港町に着いた。
「王女よ。まさか、オルカ国へ向かうお積りで?」
従者の一人が尋ねる。
「当然だ。オルカ国へ向かい、サツキナ姫を見て弟の嫁にふさわしいかどうかを見極めねば。そして可愛いカラミスを連れて国へ帰る」
「だが、オルカ国はここから10日も掛かります。我々がオルカ国に着く頃には、カラミス王子はもう既に帰路についているでしょう」
「しかし、サツキナ姫と一度お会いしなくては……。うーむ。どうするか。ここで待つか」
ミランダ王女は言った。
「ダンテ王がカラミス王子はそのまま国へ帰ると言っていたと仰いました。だったら、ここでは無くてミスラの港の方が」
「うむ……。ちとXYZ商店に寄ってカラミスの情報が無いかどうか聞いて参れ」
ミランダ王女がそう言って従者はXYZ商店に向かった。
暫く経つと従者が慌てて走って戻って来た。
「大変です。カラミス王子の乗った船をイエローフォレストのアクレナイトが追い掛けて行ったそうです」
「何?」
「カラミス王子はXYZ商店に言い付けて緊急に船を出させたそうです。出来るだけ早くミスラの港に行くようにと。それで出港したのですが、次に日のアクレナイト侯がやって来て狼藉を働いたそうです。それで留守居の者が船の行き先を告げると、慌ててそれを追い掛けて出港したと」
「何だと!!」
「カラミス王子はサツキナ姫と一緒に母国へ向かう積りだったのか?」
「おそらくは」
「しかし、ブルーナーガに行くはずではなかったのか?」
「多分……」
「では、カラミスはサツキナ姫を連れ去って母国へ帰ろうとしたのだな!! 何という情熱!! 何というロマンス!! 」
ミランダ王女は感動の余り絶叫する。
ああ、私もそんな恋がしてみたい!
心の中で叫んでみる。
周囲の兵達はそんなミランダ王女を見て「いやいや、それ、拉致ですから」と心の中で言う。
ミランダ王女はふと我に返る。
「もしかしたらカラミス王子はサツキナ姫を拉致したのか?」
従者は一斉に頷く。
「……ん? でも、どうしてアクレナイトが?」
ミランダ王女は呟く。
「分かりません。しかし、カラミス王子が危険です。アクレナイトはイエローフォレストの騎士」
ミランダ王女は突然閃いた。
アクレナイトは何か良からぬ事を企んでいて、それを察知し緊急で船を用意して逃げたカラミスを追い掛けているのでは無いだろうか。計画を邪魔されたアクレナイトはむかっ腹を立ててカラミス王子を追い掛けているのでは無いだろうか?
もしかしたらカラミスは命を懸けてサツキナ姫を守ろうとしているのでは無いのか?
危険を承知で。それほどまでにサツキナ姫に惚れているのか??
ああ。カラミス。そんな恋をしていたなんて。
なんて羨ましい……。
おのれ。イエローフォレストのアクレナイトめ。許す事は出来ぬ。人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られて死んじまえ。という諺を知らぬのか?
私の可愛いカラミスに何かあったらただでは済まぬ。
「ルイス・アクレナイトはあのリエッサ王妃の婚約者です」
「な、何と!! あのリエッサのこんにゃく者?!」
「婚約者、です!」
従者の一言がミランダ王女の火にばしゃっと油をぶちまけた。
「きっとアクレナイトはリエッサの命を受けている。リエッサめ。許さん。者共。これは戦だ。戦の準備だ!! おのれ!リエッサ王妃め!!」
ミランダ王女は叫んだ。




