第98話 ルアシーン攻防戦
ルナ軍とルアシーンの防衛軍の戦闘が始まった。
俺が考えているのはルアシーンの街に今回の件がどの様に伝わっているかだ。
街ぐるみで茶番に付き合っているのか?それとも何も聞かされずに単なる餌とされているのか?
街の状況を中から見ているとどうやら後者の様だ。
俺はデバイスでシグワスにメッセージを送る。
『B装備、作戦D』
B装備は歩兵戦闘車の弾丸を鎮圧用ゴム弾に変更すると言うことだ。
これでも当たりどころが悪ければ致命傷を与えるが負傷者の数は減るだろう。
作戦Dは進行よりも無力化優先でと言うことだ。
茶番と割り切っているなら少し突つけばすぐに撤退するだろうが本気で防衛をしようとしているのならば、そう簡単には撤退しないだろう。
防衛兵を無力化して降伏勧告が妥当だと言うことだ。
こんな茶番で命を落とす者は少ない方が良い。
歩兵戦闘車20両が横一線に並ぶ。
小細工無しの蹂躙隊形だ。
平地での戦闘故考えられるトラップは落とし穴、もしくは地雷だ。
どちらも無いことはすでに確認済みだ。
防衛軍も陣地を作って応戦するが焼け石に水だ。
ルアシーンの街はルアシーン国が落とされた時その王都を街として使用されている。
王都であった時には堅牢な城壁で囲まれていたのだが街として使用する際にそれを全て取っ払った。
それ故籠城するような場所も無く、防衛も街の外に陣地を作る様な形でしか無い。
ただ逆に言えばルナ軍にとっても、奪って守るのは難しい、それがボーヤン側がこの作戦を決行した理由でもある。
予定通り戦闘はあっという間にルナ軍が圧倒的に勝利した。
ルナ軍はルアシーンの街に直接は侵攻せずに手前に布陣して降伏の使者を送る。
程なく代官が降伏に応じてルアシーン攻略戦は終了した。
シグワス達は代官屋敷を占拠して各地に通達を行う。
略奪などはしないこと、市民は通常通りにして欲しいこと、後はこの地はルアシーン国として復刻した事、去る者は追わ無いし咎めもしない事。
通達は、そんな内容であった。
その通達はギルドにも程なく伝えられる。
ギルドでは冒険者達が安緒はしているが、これからどうなるのか不安を感じていた。
俺はギルドハウスで寛いでいた。
作戦は次のフェーズに進んだと言うことだ。




