第97話 ルアシーンのギルドハウス
俺はイヴと春花とでルアシーンの冒険者ギルドに居た。
ルアシーンの街の対応を確認したいからだ。
ルアシーンの冒険者ギルドは普段より冒険者の数は多かった。
しかし、防衛に出ようとする物ではない。
どちらかと言うと状況を把握しようとする冒険者が多い所為だ。
これがトーレス王国なら防衛戦の為にギルドマスターが指示を出している。
まぁ俺の記憶にあるファンタジー物の冒険者なら戦争には加担しない話の方が多い感じではあるが。
どうやらボーヤン帝国の冒険者もそちらの様だ。
実際戦争の主力が冒険者とかトーレス王国が異端なのだろう。
と言うか、トーレス王国は王様が冒険者だったか。
という訳で冒険者ギルドは情報を得ようとする冒険者でごった返していた。
と、そこにギルドマスターが来てみんなの前で大きな声を上げる。
「代官に確認したところ街の防衛に200程の衛兵が出る様だがとても勝てるとは思えない。降伏勧告とかあった場合それを受け入れる可能性が高いそうだ。冒険者ギルドの方針は、防衛戦には参加しない。ただし、雪崩れ込んできて略奪する様なら話は別だ。まぁルナの軍である以上その可能性は低いだろう。」
そこまで言ったギルマスは一つ息を吐いて言葉を繋ぐ。
「逃げる者は今のうちなら逃げられるだろう。占領が目的である以上は掃討戦は行わないと思われる。冒険者は自己責任だ。よく考えて行動してほしい。」
そのギルドマスターの言葉の後半数位の冒険者がギルドハウスから出て行った。
俺たちはギルドハウスに残っていた。
そして春花と雑談をしていたところに冒険者の男が話しかけてきた。
「君たちは逃げないのかい?」
20代後半の優男だ。階級はプラチナなので結構出来るのだろう。
「俺達は戦争とか見たことないから一度見てみたいと思ってな。」
かなりチャラいセリフをわざと言ってみる。
その言葉を聞いた冒険者は少し考えながら話す。
「早く逃げた方が良いだろう。戦争なんて碌な者じゃないよ。」
「逃げようと思えばいつでも逃げられるからな。それよりアンタは逃げないのかい?」
「僕はこの街に家が有るからね、家族も居るから逃げるわけにはいかないよ。」
決意を秘めたその言葉はかなり悲壮感も感じる。
「防衛戦に出るのかい?」
俺の問いに彼は蛾ぶりを振る。
「いや、あくまでも自分の家と家族を守るよ。ここに居るのは情報収集だ。家に居たんじゃいつ攻撃が有るか分からないからね。」
「それが正解だろうなぁ、所詮人は自分の手が届く範囲しか守れないからな。」
「若いのに達観してるね。君達の無事の祈ってるよ。」
「ありがとう。俺はススムだ。」
「僕はケインさ。お互い無事だと良いね。」
そう言ってケインは他の席に移って行った。
多分色々情報を集めているにだろう。
ケインか、覚えておこう。
しばらくするとルナ軍の攻撃が有ったギルドハウスに報告が入った。
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