第94話 過去編⑤
出発の前日の夜。
真雪が僕の部屋を訪ねてきた。
真雪は今回の魔王討伐部隊には選ばれていない。
無事に帰って来てと泣き付かれた。
慰めて居る内に良い雰囲気になって……二人は結ばれた。
旅は割と順調だった。
船は海龍のおかげかほとんど揺れなかったし、大陸での移動はアーティファクトの自動車の様な物を使った。
いくつかの国を巡って一緒に行くメンバーを吸収して、最終的には20人の大所帯に成っていた。
隊長はザイン皇国と言う大国の騎士団長が務めて僕達召喚勇者は遊撃隊に位置付けられた。
集団戦闘など教わってないので、ちょうど良いと僕は思った。
メンバー集めに一月程掛かった所為なのか魔人の侵攻も再開された。
ただし説明ではこれを狙った感もあるようだ。
敵が攻勢に出た時にカウンターパンチか?
戦術的には良いと思うが残った人達、と言うか真雪のことを心配した。
ただ残ったものは火力の大きいものが多い。
選抜されたのは対人や一対一に強いものが優先された。
それは魔王がゲームに出てくる様な化け物ではなく、あくまで最も強い魔人という存在で、倒すためにすごい火力が必要と言う訳では無いからだ。
魔人がこちらの国を攻めて来る中、僕達は極力戦闘を避けて移動する。
その為魔人国に侵入するまで更に2ヶ月が掛かった。
そして魔人国に侵入すると、そこからは戦闘を避けるこちは出来なくなる。
襲いくる、もしくは守る魔人。
ここでの戦闘は魔人兵とがほとんどだ。
こちらの戦力も一人、また一人と欠けていき、魔人国の首都に到達した時は既に半数になっていた。
首都の門は固く守られて居るので僕達は外壁を越える選択をした。
しかし、見回る兵も多い事から、二手に分かれて陽動をする事になった。
侵入するのは隊長の判断で僕達召喚勇者組となった。
僕達はここまで5人、一人も欠けていない。
その戦闘力の高さを見込まれたのだ。
実行は早朝太陽の昇る東側から陽動部隊が壁を登り侵入する。
その際は壁の上で戦闘を起こし撤退するのだ。
その隙に西側から実行部隊が侵入する。
その策は上手くはまって僕達は無事侵入することができた。
そのまま王宮まで突入して遂には魔王を倒すことができた。
しかし、その場に立っていたのは僕含め3人だった。
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次でラストです。
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とにー




