92話 過去編③
訓練を始めて3ヶ月が経った。
僕はスキルを活かして前衛で剣を振る事になった。
真雪は魔術の極意と言うスキルを得た様で魔法の威力が上がるらしい。
後衛としての鍛錬を積んでいた。
3ヶ月の鍛錬を終えて実戦に入る。
ただし、いきなり魔人とではなく魔物とだ。
まずはゴブリンと対峙する。
人型の魔物と対峙してもっと恐ろしいかと思ったが、意外とそうでもない。
一瞬で叩き切る。
緑の血を撒き散らしてゴブリンは死んだ。
もう少し嫌悪感を感じるかとも思ったが、そんなことも無かった。
自分の身長の倍もあるトロルや醜悪な形相のオウガとも戦ったが恐ることも無かった。
城の賢者と言われる人に聞くと召喚された魔法陣にそう言う物を取り除く効果が有るらしい。
成程と納得した。
その後はだんだん強い魔物と戦っていく。
ただ自分の力は攻撃力を上げる力では無いので硬い鎧を纏った亜竜などには苦戦した。
しかし、急所や装甲の薄い場所に当てることには苦労しなかったのでその様な戦略で対処した。
王国の教官からは戦術眼が良いと褒められ、攻撃チームの一員となった。
そして、遂に魔人と対峙する日が来た。
魔人は頭にツノが生えていて、体にタトゥーの様な模様はあるが、体躯は完全に人と言える物だ。
しかし、僕達には倒すべき敵としてしか感じなかった。
問題は、あれを脅威と感じる感覚だ。
今まで魔物と戦ってもそれが亜竜であっても脅威とは感じなかった。
しかし、あの魔人にはそれを感じる。
逃げ出さなくてはならないほど恐ろしくは無いが、油断は出来ないと頭の中に警鐘が鳴らされた。
それはクラスメイト達も感じて居る様で、みんなにも緊張が走る。
クラスメイトの一人がついてきて居る王国の兵に尋ねる。
「あいつが魔王か?」
兵はそれに冷静に答える。
「あれは魔人兵です。戦闘訓練を積んだ魔人ですので気をつけてください。」
「魔王はもっと強いってことかよ!くそっ、やってやるぜ!」
そのクラスメイトは炎で作り出した剣で切り掛かる。
亜竜の表皮でさえ切り裂いた炎の剣だ、しかしそれは魔人の張ったシールドに阻まれる。
炎の剣はシールドを削っていくが動きが止まったところに魔人からの反撃がある。
魔人の手刀をギリギリで避けるが纏っていたオーラまでは交わせない。
胸に大きな傷を負ってクラスメイトは蹲る。
シールドには打撃武器が有効だ。
僕は武器を片手鉾に変えて殴りかかる。
反撃を許さないヒットアンドアウェイだ。
魔人も反撃しようとするが僕の動きにはついてこれない。
隙をついて別のクラスメイトがロケットのような物を飛ばす。
シールドには属性魔法は効果が薄い。
シールドの攻略法が分かっているな。
僕の次の一撃でシールドが割れた。
そこを逃さず属性魔法が放たれ魔人は倒れた。
僕は肩で息をして居る。怪我をした友人はなんとか治療した。
単なる魔人兵に大人数でよってかかってやっとか。
いきなりみんなの表情は暗くなった。
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後2回くらいです。
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とにー




