第87話 魔王と勇者
時は少し遡る。
レイナードとの面会が終わった後、
自室でくつろいでる時だった。
隣でゲームをして居た春花から話しかけられた。
「そう言えばススムお兄ちゃん質問が有るんだけど。」
「何だい?」
「私達ってボーヤン帝国との戦争の為に召喚されたんだよね?」
ほほう、春花は気がついた様だ。
「その通りだ。」
俺は肯定する。
「じゃぁそれまでの勇者は何の為に召喚されたの?」
「どうしてそう思う?」
「だって、歴史についてススムお兄ちゃん語ってたよね、ボーヤン帝国ができる前は周りは友好国ばかりだったって。覚醒勇者は他国を攻めるわけじゃないんでしょ?」
「確かにその通りだ、ならなぜ勇者召喚は繰り返されたか?」
俺は一旦溜めてから春花に問いかける。
「なぁ、春花。一般的に勇者の仕事って何だと思う?」
俺の問いに一瞬戸惑った春花だが真面目に考え出す。
「うーん、世界の平和を守る事かなぁ?」
「具体的には?」
「魔王を倒す事!」
言い切った感じでドヤ顔して居る春花に俺は解答を伝える。
「その通りだ。」
「居るの!?」
俺の言葉に興奮した様に春花が叫ぶ。
「魔人王と呼ばれて居るがな。先日俺が行った大陸の北の端に魔人国と言う国がある。そこを治めて居る王様だ。」
「その魔王が攻めてくるの?」
春花が目を輝かせて俺に聞いてくる。やはり魔王と勇者の物語はファンタジー好きには堪らないよな。
その気持ちは解るが、俺は首を横に振った。
「いや、今の魔人王は攻めてこないよ。だがな、魔人族には呪いに罹って居る。」
「呪いに?」
「『破壊の衝動』と言う呪いだ。これは他種族と他文化を破壊する衝動が突然発症する呪いだ。」
「えっそれ大丈夫なの?」
春花は動揺するが俺は落ち着いて話す。
「今の魔人王はその『破壊の衝動』を完全に制御して居るらしい。」
「へぇ、でも野良の魔人って?」
「そうだ。あれは魔人国の平民だ。魔人王の制御は魔人軍の兵には行き届いて居るが国民全て完全にとはいかない様だ。」
「単なる平民でも結構強いんだね。」
「奴らは魔人の特性で空が飛べる。厄介な奴らだ。それで先ほどの正解だが、昔は結構魔人達の侵略があったのさ、それに対抗するための勇者召喚だ。」
「なるほどねぇ。」
春花は納得した様だ。
ゲームに没頭し直した。
そして場面は戻り王宮の謁見の間。
王様と俺の二人だけになって居る。
俺が人払いを頼んでそれに王様が許可をしたのだ。
「人払い有難うございます、陛下。」
「私もお主とは一度差しで話してみたいと思っていたのだ。」
「お礼にまず自分の正体をお証しましょう。」
「そうか。」
「私は召喚勇者です。巻き込まれただけですが。」
ーーーーーーーーー
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにもなりますのでブクマや評価をよろしくお願いします。
とにー




