第85話ボーランクの策
ボーランクの策と言うのは……
ともかくシグワスをルナの街から離すことが必要だと言うことだ。
その為に先日冒険者と一緒にルナに来たビエラと言う少女を利用する。
彼女はルアシーン王国の王様の庶子と言うことに成って居るので、彼女を立ててルアシーンを再興すればグランデン様の大願が叶うと焚き付けたと。
ビエラは我が帝国の手のものだ。
調節はつけ易いか。
現在ルナには3000の兵がいる。
その殆どを持ってルアシーンの街に攻め込めば、現在トーレス王国に掛かり切りの帝国は対応出来ないと吹き込んで、シグワスを誘導することが出来たと。
成程、そこで倒してしまうと言うことか?
いや、シグワスは慎重な性格と聞く、それで倒しきれなかったらチャンスは消えるしボーランクの素性もバレるかもしれない。
しかし、ボーランクの策はそこからが凄かった。その時、一度ルアシーンの街を占領させてしまうと言うのだ。
成程、そこまでさせればルナからは離れ、ダンジョンの対応は出来ないだろう。
数千の兵で守ったところで、ルアシーンの街など簡単に取り返すことが出来るだろう。
ビエラという少女に暗殺させてもいいし、正体をバラしてもいい。
旗頭を失えば簡単だろう。
中々考えられた策だ。
ルナが手に入るのか。
ルナが手に入ると言う事は大陸への安全な海路が手に入ると言う事だ。
現在帝国も大陸と貿易はしている。
しかし、3回に1回は船が沈められる。
シーサーペント、メガロドン、テンタクルス。この辺に狙われればまずおしまいだ。
キラージャンピングフィッシュやスピンドルシャークの群れもかなり厄介だ。
海龍の加護の大きさは計り知れない。
「気に入らんな。」
俺は吐き捨てた。
あまりな皇帝の態度に側近が反応する。
「どうしましたエドワース閣下。」
「いや、あまりに上手く作られているのだ。この策をあのボーランクが考えたというのか?」
「彼も必死なのでしょう。」
「ふむ、しかし問題ないだろう。この作戦を実行するが良い。」
「了解致しました。」
「乗ってきましたな。」
領主屋敷でワシは言う。
椅子に座っているグランデン様がうなづく。
「さすがはススム様の策だ。」
これで労せずルアシーンの街が取り戻せる。
後はルアシーンの街を守り切るのだがススムが戦力を出せばさほど難しくはない。
反抗は始まって居た。
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