第81話 正体を明かす
ポランの港町に飛んで俺だが、早速衛兵に囲まれた。
ただ警戒はしているのだろう、即拘束とはならない。
俺は俺であまり気にせず移動する為、衛兵の一団を連れて歩く形になる。
連れて歩くなら女の子の方が良いのだがな。
俺が町長の屋敷の前まで来ると中から町長のハロイドと昨日見た隊長が出てきた。
開口一番隊長の男が俺に怒鳴りかける。
「貴様、姫様はどうした?」
俺はそれを軽くスルーしてハロイドに話しかける。
「貴方が町長のハロイドかな?俺はルナから来た使者のススムだ。」
ハロイドは一瞬迷って隊長の顔色も伺ったが意を決して話始める。
「町長のハロイドです。ススムさんよろしくお願いします。ところで姫様はどうしたのでしょう?」
「その件だが、俺達は昨日街に着いたばかりだ、お姫様と関わりになれる訳が無いだろう。あの子は姫様とそっくりの様だが赤の他人だ。」
「では何故あの時逃げたんだ?」
騎士隊長の男が高圧的に話す。
「うちのお姫様が怯えて居たのでね、お前ら顔が怖すぎるんだよ。」
「ふざけるな!」
激昂する男に俺は冷静に話しかける。
「口の聞き方に気をつけた方が良いな、俺はルナの使者だがルアシーンの国民では無い。とある国の貴族だぞ。」
俺の言葉に訝しむ様に男は言う。
「そんな馬鹿な、お前の様な若造が貴族だと?」
解るかどうか判らないが俺は冒険者証を出す。
「俺はトーレス王国のCランク冒険者だ。その意味が解るか?」
「Cランク冒険者?……まさか……」
「俺がその気になればこの街を灰塵に返す位は造作もないことを理解して貰おう。」
そう脅しをかけた後で、突然にこやかに笑って、
「しかし、少し混乱させてしまったことは詫びよう。」
そう言ってニヤッと笑って。
「お詫びとして王女様を保護させてもらった。」
王女様をその場に召喚した。
「心配を掛けましたね。」
お姫様が隊長に声をかける。
「ユーリアゥ様もご無事で。」
「ススム様に保護して頂きました。」
どうやら男は親衛隊長だった様だ。
「でもどうやって?それと姫様、奴隷契約をされたとか……」
「どうやったかは秘密だ。Cランク冒険者のことを知っているのなら理解できるだろう。奴隷契約もサービスで解除しておいた。」
トーレス王国のCランク冒険者は尋常じゃ無い様々なスキルを使う。そのくらいの情報は若干の尾鰭がついてこの大陸でも知れ渡って居た。
「しかし、Cランク冒険者は国外では活動出来ないと聞いているが……。」
「何事も例外という奴があるのさ、ただしこのことは他言無用だ。」
俺は一応口止めするが噂は出るだろう、噂くらいは問題ないと思っているが……
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とにー




