第76話 覚醒勇者の制限
「そう言えば少し気になる事が有るのですが……。」
一息ついたグランデンが話を切り出した。
「ふむ、なんだ?」
俺はグランデンの言いたい事が何となく判ったが、一応聞き返す。
「覚醒勇者はトーレス王国から出て戦闘は出来ないと聞いていたのですが……」
やはりその事か……
「我々ルアシーンが攻められた時に友好国であったトーレス王国に援軍の依頼をした時にその様に聞かされたのです。」
「その通り、Cランク冒険者は国外で活動できない。基本的にはな。だからトーレス王国は援軍を出さないために嘘を言った訳ではない。」
「基本的にはですか……」
「貴方だって国外で活動できているだろう、帝国にいる覚醒勇者もな。」
それには制約が影響しているのだ。
元々無い俺やグランデンとか外してしまったイヴ、春花、ライトは国外での制限は無い。
多分これは最初は国外逃亡を防ぐ為につけた物なんだろうなと思う。
「ふむ、だから余計に訝しんだのですが、蟠りが少し取れた思いです。」
「逆を解すとな、もし覚醒勇者が国外に攻めれるのなら野心家の王が出たら近隣国は悉く落ちるぞ。」
「確かにそうですな。」
そんな話をしているとデバイスの通知ランプが光った。
「どうやら終わった様だ。」
通知はDHからの物で、終わったと言うのはルナの代官屋敷の制圧だ。
俺達はマスター権限でサブマスタールームに飛んだ。
「相変わらず趣味の悪い館だ。」
俺は呟く。
多分代官は立て直し(建て直し)たかったんだろうが、サブマスタールームの再構築ができなくて断念したんだろう。
無骨な造りなのに派手な絵画が飾ってある。グランデンも顔を顰めていた。
執務室に着くと中から大きな声が聞こえる。
「お前は何者だ!?ワシを縛ってもここにはグランデン様と言う強い領主が居るぞ。早く逃げた方がいいぞ。」
どうやらボーランクが騒いでいる様だ。
そこにグランデンが入っていく。
「私がどうかしたか?」
「へっ」
ボーランクは一瞬何が起きたか解らず呆けた顔になる。
しかし、その表情は驚愕に染まる。
「グランデン様、何で……。?」
「ボーランク、お前の目論見は潰えた。残念だったな。」
絶望に染まるボーランクに俺は話しかける。
「お前はまだ使い道があるから利用してやる。」
そう言って奴隷魔術をボーランクに掛けた。
DHが連絡役の男も捕えてきたので一緒に奴隷にする。
そしてオンラインショップで購入して帝国の呪縛も解く。
これでルナが解放された事を帝国に気が付かれないだろう。
ルアシーンを取り返すための策を練るとしよう。
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ススムの奴隷魔術はレベル6なのでよっぽどでなければ抵抗できません。
少しでも面白いと思われましたりモチベーションにもなりますのでブクマや評価の方よろしくお願いします。
とにー




