第73話 代官ボーランクside
代官ボーランクside
ワシ、ボーランクは30の時にこのルナの街に来た。
ルアシーン公国の厳しい官司の試験に合格してこの街の領主に仕える様に赴任したのだ。
ここで一生懸命働いたお陰で35になる頃には代理として任命された。
とても名誉あることで有ったのだが、その時が来た。
帝国がルアシーンに攻め込む一年程前のことである。
突然ワシの記憶が蘇った。
ワシはボーヤン帝国の機関で育てられた草だったのだ。
帝国の計画通りワシはルナの領主であるグランデンに認められ、サブマスターにまで任命された。
そのお陰でダンジョンの中までは操作出来ないが、ダンジョンの入り口の行き来はある程度操作できる。
ワシは同じく草として来ていた男を外部との連絡役に任命して帝国との連絡を取った。
その際に王族のルナへの逃げ道もリークした。
ワシには外から人を入れる権限は無かったのだが中の人間を外に出し、それを戻すことが出来たので情報のやり取りは問題無く出来たのだ。
ある日、その男が帰って来た際にここを闇仕事のクランの本部にしたいと言って来た。
ワシは不便じゃないかと言ったのだが、闇クランはいつも当局の捜査を警戒している。
ここならば逆に捜査される心配はない、証拠となる依頼人の資料とかメンバーの名簿などここで扱えば漏れる心配は無いと言うのだ。
成程、領主はダンジョンのことで頭がいっぱいで公務はほとんどワシがしておる。
バレる心配は無いな。
私は了解をした。
そして、ボーヤン帝国はルアシーン公国に攻め込んだ。
丁度正月で公都に王家の血族が全員集まっている所を狙って。
ワシが指示した隠し通路を暗殺者で塞いでルナに逃げようとする王家の縁者を悉く討ち取った。
その為ルアシーンは一年で落ちた。
このルナを残してである。
私は領主に打って出るべきだと進言したが、領主はうなづかなかった。
領主はこのルナを守ることがルアシーンを保つことだと聞かなかった。
そこでワシは指示通り領主の荷物に爆発の魔石を潜ませた。
領主は1日一回はダンジョンのマスタールームに行く。
マスタールームを破壊するわけにもいかないのでそこに着くまでに爆発する様に調節するのは大変だったがボス部屋の前に確認のカメラを付けてもらうことで解消した。
ワシはボス部屋で領主を爆殺することに成功した。
成功したのだが何故かマスターが私に移譲されずにボスであるエルダーリッチがノーライフキングに進化してマスターに成ってしまったのだ。
それから長い年月が経ったがボス部屋まで行ける冒険者が現れた。
怪しい冒険者だ。
一緒に居なくなって貰おうと爆発魔石を持たせてダンジョンに送った。
狙い通りボス部屋に辿り着いた冒険者を見てワシはほくそ笑んだ。
入って少し待った後ワシは爆発魔石を起動した。
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