第72話 ビエラの正体
「私はルナの領主であるグランデンだ。」
ノーライフキングだった男が話しだす。
「私は十年前にこのダンジョンのチェックをしている際にボーランクの卑劣な罠に掛かりこのダンジョンで瀕死の状況になってしまったのだ。」
「その際に秘術を使いボスであるノーライフキングと意識を同調させることが出来たのだが、ノーライフキングの支配力が思ったより高く中和させるのが精一杯だったのだよ。」
ボーランクと言うのは代官の事だな。
まぁ予想通り、と言うか解って居た事だが、代官は嘘をついて居た。
「ボーランクの狙いは私を殺してダンジョンマスターの権利を奪う事だったのだろう。今までは従順に見えたのは演技だった様だ。」
殺した筈なのにダンジョンマスターの権利が移行しないので業を煮やしたか、俺達が来たのを利用した……いや、誘い込まれたか?
そう思った瞬間ポケットに入れた石に魔力が集まる。
そしてその石が大爆発を起こした。
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ビエラside
私はビエラ、でもこの名前は偽名だ。
本当の名前は解らない。
訓練所ではフォーと呼ばれて居た。
4番目と言う意味らしい。
帝国の工作員として教育を受け今はルアシーンの街の冒険者ギルドに来ている。
私の初めての任務でルナまで行ってくれる冒険者を見つけて同行するのが目的だ。
今まで同じ任務を受けた同僚がことごとく失敗している。
かなり難易度の高い任務だ。
ルナのダンジョンの難易度はかなり高い。
ルナに抜けるためには7層のボスを倒す必要がある。
だが今まで同僚達は金級、プラチナ級を雇ったと言う。
それでも失敗した。
そして帰らなかった。
本来ルナの7層は金級でもなんとかなる筈だ。
何かアクシデントがあったのだろう。
金級以上はプライドが高い。
少しくらい難しくても撤退しなかったのだろうと考えた。
そこで私は銀級に目を付けた。
銀級はルナのダンジョンの5層くらいまでがテリトリーだ。
だから異変が有れば直ぐ撤退するだろう。
一度入って情報を詰める必要がある。
私はそう感じて銀級冒険者を張った。
するとルナダンジョンに挑戦する銀級冒険者が現れた。
見定めていると金級冒険者を手玉に取った。
もしかしたら良いかもしれない。
付けていって部屋を訪ねると同行を一言で許可してくれた。
ちょろいと言うよりも恐ろしい感じがした。
しかし、ダンジョン攻略は順調だった。
と言うか情報より魔物が強く無いか?
情報だと一層はウッドゴーレム、2層はスケルトン、ゾンビでオグルが出てくるのは3層からでは?
ここはルアシーンから離れている上にもっと稼ぎやすいダンジョンが幾つも有る所為でとても人気がない。
マスターがいる為にダンジョンブレイクもないので放置されすぎだろう。
それでも彼らは圧倒的な力で進んでいく。
どうやら成長途中の銀級を引いた様だ。
たまにこれからのし上がって行くパーティってのがいるらしい。
彼らはそんな感じなのだろう。
キャンプ中にルナに行きたいと打ち明ける。
二つ返事で了承が得られた。
どうやら彼らもそれが目的だったらしい。
その後はさらに驚かされた。
リーダーのススムさんが突然すごい魔法を使い出した。
アンデッドがどんどん消滅して行く。
そして無事私達はルナに到着した。
ルナの代官の屋敷で指示通りペンダントを見せる。
代官は帝国の影響下にあり、正しくそれを理解した様だ。
私は一時的にその指揮下に入ると次の日の朝ススムさん達に石を渡す様に言われた。
言われるがままに石をススムさんに渡し、私の任務は終了した。
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ススムは事前にライトにダンジョンを調べさせて居ます
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにも成りますのでブクマ、評価よろしくお願いします。
とにー




