第71話 ノーライフキング
次の日の朝、俺達が代官屋敷のエントランスに集まっているとビエラが顔を出した。
「おはようございます、皆さん。」
「おはよう、ビエラちゃん。」
春花は相変わらず元気が良い。
ビエラはそのまま俺の前に来ると俺を見つめて言った。
「ススムさん、ダンジョンを攻略されると聞きました。気をつけてください。」
そして懐から石の様なものを取り出して俺に渡す。
「これは私の家に伝わる幸運の石です。このお陰でススムさんと出会えました。是非持っていってください。」
「そうか、ありがとう。」
俺はそれを受け取ると胸ポケットに入れた。
「それでは行ってくる。」
そう言って俺たちはダンジョンの入り口に向かった。
入り口には既に代官が来て居た。
「よろしくお願いします。」
代官がお辞儀をする。
「まぁ出来るところまではやってやる。」
俺は相変わらずぶっきらぼうに対応するとそのままダンジョンの扉を開けた。
階段を下り8層に降りると、相変わらず石造りの通路が続く。
ここはオープンフィールドは無いようだ。
8層の敵はアダマンタイトやダマスカ鋼のゴーレムだ。
防御力が半端なく物理も魔法も生半可な物は通じない。
しかし、俺はここで春花の制限を解除した。
ここまで来たら既に隠す必要はないと判断したのだ。
春花の手に光の剣が現れる。
そうなるとただ硬いだけの存在は春花の敵では無くなる。
硬い筈のアダマンタイト鋼が紙切れの様に切り刻まれていく。
春花も足枷を外されたかの様に躍動して居た。
昨日の戦いは鬱憤が溜まって居たのだろう。
こうなるとこのダンジョンで春花を抑える者はいない。
9層のエルダーリッチの大群でさえ春花の前では雑魚でしかない。
光の剣はアンデッドには特効なのだ。
春花は光の剣の刃の長さを自由に変えて、前方のエルダーリッチを3体纏めて切り捨てた。
「良い汗かいたぁー。」
いや、実際汗はかいてないけど汗を拭く真似をしている春花に
「お疲れ様。」
俺は労いの言葉をかける。
10層に降りて直ぐにボス部屋がある。
俺達はボス部屋の前に来て居た。
ここまでほぼ春花1人しか働いて居ない。
俺とイヴは後ろで応援して居ただけだし、ライトは……実はカカシだ。
既にDHとしてルナの街に潜伏している。
色々気にかかる部分はあるからな。
今俺の前にいるライトは虚空の能力で作ったコピーだ。ステータスは同じだがスキルは無い。
俺が操れるので俺の前を歩かせている。
俺は一休みしたら迷わずボスの部屋を開ける。
中で待って居たのはノーライフキングだ。
「こいつ倒しちゃえば良いの?」
そう言いながら春花は光の剣で斬りかかろうとするがそれを俺は制する。
「春花、待て!」
「やはりそうか、まずは正気を取り戻してもらおう。」
俺は攻撃の気配のないノーライフキングに対してエーテルキャノンを放った。
シールドに直撃するエーテルキャノン、アンデッドのシールドは通用しない筈なのにそのシールドにはエーテルキャノンを防いでいる。
しかし、全てではなかった。
シールドからエーテルが染み込む様にノーライフキングを侵食して行く。
そして侵食が終わった後、ノーライフキングの骸骨の顔が人間の顔になって居た。
ーーーーーーーーー
春花、大活躍です。
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにも成りますのでブクマ、評価よろしくお願いします。
とにー




