第70話 ダンジョンマスター
ビエラは保護された。
まだ状況が掴めないので喧伝は保留と言う事だ。
ともかくこの街には領主が居ない。
俺達に頼みたいと言うのもそれ絡みの話だ。
案内された応接間のソファーに俺と代官が対面で座る。
メイドが2人の前にお茶を持って来て置き、退室した後代官が話を切り出す。
「実はここだけの話ですが、ここの領主様は昔から外出が多く私が留守を預かることも多かったのですが、籠城が始まってからは五年位は出かけることもなかったのですが、今から十年ほど前ダンジョンを確認に行くと言い残し戻らなくなってしまったのです。」
「成程」
俺はお座なりに相槌を打つ。
「おそらくダンジョン奥地で何か有ったのでしょう。しかしダンジョンマスターの登録が移行されてない以上死んでいると言ったことは考えられないのです。」
ダンジョンマスターが死ねばダンジョンは消滅する。
ただし、後継者を定めておけば権利が移行されるのだ。
ルナのダンジョンはそれを定めてあったと言うことだ。
「貴方達には10層に行ってボスを倒してくれませんか?」
「領主を探すのでは無く、ボスを倒すのか?」
俺は訝しげに答える。
「ボスを倒せば一時的にでもマスターが移行されます。ダンジョンが把握できないと領主様を探すことも出来ませんから。」
成程な、筋は通ってる。
しかし、俺は問題点を指摘した。
「俺達は銀級冒険者だぞ。現実的に見てボス討伐など不可能だろう。」
しかし、代官は目を細めて言う。
「何を仰います、1日半で7層ボスまで走破した貴方方が普通の銀級冒険者な訳は無いでしょう。」
「よく知ってるな?」
「私がダンジョンのサブマスターを任されて居ますので固定された箇所だけは確認することができるのです。」
「成程、ちなみに固定された場所とは?」
「えっと……ダンジョンの入り口とルナの入り口です。」
「それで俺達の滞在時間を計ったか……よかろう、ダンジョンをクリアしてやろう。」
「ありがとうございます。」
「突入は明日だな。今日はここで休ませて貰う。」
「解りました、最上の部屋をご用意させて頂きます。」
ーーーーーーーーーー
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにも成りますのでブクマ、評価よろしくお願いします。
とにー




