第69話 ルナの代官
代官の屋敷までは歩いて30分ほど、石畳の道をそろそろと進んだ。
街並みは割と発展している様で二階建て、三階建ての建物が多い。
住宅地の真ん中にダンジョンの出口が有るのだなぁと思った。まぁダンジョンブレイクが起きても、こちらの入り口から出てくるんじゃなければ良いのか?などと考えながら進んでいった。
代官の館に着くとリビングに通される。
館自体はそれほど華美な作りではないが、飾ってある美術品は高そうだ。
海外から入って来ているのか、珍しいものが多いな。
おそらく元の領主の館をそのまま使っているのだろう。
領主は質実な人物だった様だ。
美術品は代官が入れた物だろう、いまいち建物とバランスが取れておらずセンスが良くない。
少し待っていると初老の男性が現れた。
年は50代と言ったところか、恰幅は良いので少し若く見えるか?
仕立てのいい服を着ているので彼が代官で間違いないだろう。
「これはこれは、銀級でダンジョンを突破された皆さんですか?」
「そうだ。何か用事でも有るのか?」
俺が不躾にいうと、護衛の為に付いて居たのであろう隊長の男が口を挟む。
「こら、代官様になんて口をきくのだ。」
しかし、俺は悪びれることも無く言い放つ。
「それはそうと聞かせて欲しい、ここはルアシーン公国で間違いは無いのか?」
この問題発言は代官屋敷のリビングを震撼させた。
誰もが息を呑んで代官の答えを待っている(うちのパーティを除いて)。
確かにルナはルアシーン公国の都市だった。
しかし、ルアシーン公国は滅亡したとなっている。
それは王家の血筋が途切れたからだ。
それ故ルナが残っているにも関わらず滅亡したと見なされている。
ミーリスとクスーラゥの違いはここだ。
ミーリスが逃げてこられたのは既に全ての都市が占領されていて生きて居たにしても復興は不可能で有ること。
クスーラゥの様に奇策を弄したわけでは無い。
代官が口を開く。
「ルアシーン公国は滅亡しました。」
だが俺は正論を許さない。
「では、ルナは独立したのか?それともヤーボン帝国に降ったか?もしくは他の国の傘下となったか?」
「いえ、そんなことは……」
「大体お前はどこの国の代官なんだ?」
言葉を詰まらせた代官だがなんとか絞り出した。
「ルア…シーン……の代官です。」
実際ルアシーン公国の代官なのだからそう答えるしかない。
内心はどう思って居てもだ。
しかし、一冒険者の若造に完全に気圧されているな。
まぁ所詮代官なんて代理人だ。
代官と言うだけで敬うこちは無い。
そこで俺はニヤッと笑って言った。
「そんなお前に朗報が有るぞ、ビエラ。」
後ろで怯えて居たビエラを名指しする。
そして、代官の前に連れてくると優しく告げる。
「ビエラ、お前が言うことだよ。」
ビエラは戸惑って居たが、意を決して大きな声で叫んだ。
「私はルアシーン王の庶子です。こちらが証拠です。」
そう言って身につけて居たペンダントを手に取って前に見せる。
すると、唖然として居た代官がまるでネジが巻かれたかの様に動き出す。
「それは王家の証です。確かに貴方は王家所縁の者ですね。」
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決着がどうなるかは作者でも解らないw
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにも成りますのでブクマ、評価よろしくお願いします。
とにー




