第63話 炬燵
イヴは浮かない顔をしている、かと思ったが意外とスッキリとした表情を見せる。
気づいてないわけじゃ無いと思うが、それを見て俺も少し安心する。
正直ここでイヴに取り乱されたらどうしようと内心ビクビクしていた。
「ショックじゃ無いの?」
解っては居るが一応俺は尋ねる。
「ショックじゃ無いと言えば嘘になるけど、でもどちらかと言うと事務所や制作さんに迷惑を掛けなかった事に安心したの。」
良い子だなぁ、この子は。この子を推していて良かったよ。
俺は心から思うのだった。
さてと、俺は予定していたことを実行する。
春花に退いてもらいソファーとテーブルを片付ける。
そして、その場所に炬燵を出した。
季節はもうすぐ冬だ。
やはり日本人なら炬燵だよな。
この建物は全館空調で一定の温度を保っているのだが炬燵には入りたくなる。
そして「炬燵と言ったらみかんだよな……」と言ってみかんをカゴに盛って真ん中に置いた。
「なんだか日本に戻ってきたみたい。」
春花が言うのをあえて『寂しいか?』などとは聞かず、穏やかに眺めていた。
あれ以来春花が部屋に入り浸ってる。
MMOとか出来るの?と聞いてきたのでゲーミングパソコンを一台買ってあげてソフトも用意した。
なんか普通に出来るようで、お兄ちゃんも一緒にと言うので、俺は慣れているコンシュマーゲーム機で参加した。
これって普通に向こうの人と会話とか出来るんだけど大丈夫?
音声チャットは出来ないのか……まぁ当たり前か
何が真実かは判らないが成るように成るだろう。
イヴは今炬燵でアニメを見てる。
一応見たいと言うアニメは用意してあげた。
そんな時だった。
ライトが報告に来た。
どうやら裏クランの本拠が判ったようだ。
俺はその報告を聞いて少し嫌な感じがした。
裏クランの本拠はルナに有るらしい。
ルナと帝国が繋がっている?
いや、裏クランに帝国が関与していると考えるのは早計か。
それに裏クランの本拠地があるからと言って、ルナが街ぐるみと考えるのも安易ではある。
取り敢えずルナに人を送らなくてはどうしようもあるまい。
ライトなら侵入するだけなら簡単だろう。
しかし、正当な方法で入らないと中での活動が難しい。
ルナに覚醒勇者級が居ることは確かだからな。
どんなスキルが有るかも判らないのに1人で行かせるのは危険すぎる。
俺は策を考えた。
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高難易度ダンジョンのマスターがルナには居る筈なので(そうでなければダンジョンだけで帝国から守るのは無理)覚醒勇者級は確定です。
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにも成りますのでブクマ、評価よろしくお願いします。
とにー




