第56話 ライトの選択
俺の問いにライトは少し思考して答える
「3番でお願いします。」
「そうか、よろしくな。」
俺は右手を差し出した。
その手をライトはがっしりと掴んだ。
3択とは言ったが、実質俺の回答は一択だった
ではそれまでの台詞に意味が無かったかといえばそうでは無い。
順番で行った事は選択肢を消していくと言った作業だ
1はこの件に関してはまず無い。だがそうした事による結果を確認しておく事はこれから必要になる可能性がある
2番は一見おさまりが良い。
だがそこで思考停止してはその先が見えない。降って湧いたような覚醒勇者に最初は喜ぶだろう。
しかし不満は奥底に潜む
少し考えただけでも、継げるはずだった長男の立場は?その母である正妻の思いは?などなどもっと深い位置に不満があるかもしれない。
この状況になった時点で3になるのは必然と言えよう
頭の良いライト君なら当然である
慰謝料としての100ミスリル金貨所謂所の10億円だが相場からすると確かに高い。まぁススムの価値観的には安いと言うのは本当だし先述の受け答えは言わばお約束と言うやつなのではあるが……
だがこの金額を払うのには幾つかの理由がある
まず一つに単純に力の誇示。
二つ目は餌だ。俺がこれだけ出す事を知ればこれからもこのような事はうちのダンジョンでやってくれるだろう。そうしてくれれば俺が対処できる。悲劇も減らすことが出来るだろう。
三つ目は闇クランの処理だ。
この件には早速ライト君に動いてもらう。闇クランを潰すのは簡単だが、この手の物は筍のように生えてくる物だ。
だから支配管理する。
美味しいと思えば必ず寄ってくる奴らだからな。
後四つ目として、ちょっとの罪悪感かな。今侯爵領の冒険者が減ってるのはうちにダンジョンの所為なのが大きいからな
訪れた使者の対応はパールに任せ俺はライトと話をしたら。
「これを渡しておこう。」
そうして渡したのはライトのCランク冒険者のギルドカードと黒い仮面だ。
「これは?」
「Cランクは俺が申請しておいた。仮面は、素顔では知ってる者も居るだろうからな。まぁ趣味もあるが……」
「僕はCランク冒険者の試験を受けてませんが?」
「あんな物は野に隠れた覚醒勇者を探す為だけの物だ。判っている覚醒勇者には必要ない。君なら野良魔人くらい簡単に倒せるだろう。これからは仕事の時は仮面の冒険者DHを名乗るが良い。」
「はい」
「最初の仕事は闇クランの特定だ。配下として忍者を10人付けるのでよろしく頼む。」
そう言った後さらにスマホを一つ渡す。
「俺への連絡はそれでしてくれ。」
「解りました。」
そう言ったライトはまるで居なかった様に消え去った。
ーーーーーーーーーー
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにも成りますのでブクマ、評価よろしくお願いします。
とにー




