第54話 悪魔の囁き
フィールダー侯爵夫人side
私はフィールダー侯爵夫人のチコレットと申します
我が家は侯爵家とは申しますが領地がそこそこ広いだけで大した産業もなく魔物も暴れ放題
冒険者はそこそこ居ますがあまり身入り(実入り)が良くなくて常駐される方は少ないです
そんな訳で結構慎ましく暮らしております
3世代前にBランク冒険者の曽祖父が納めて居た時はかなりの賑わいだったと聞きます
夢をもう一度ということで旦那のトクカンは側室を二人娶り男9人女3人の子供作りましたが覚醒する子は現れ無かったです
領地の貧乏化はどんどん進んでいったがある日転機が起きました
3男のファストが隣のクオール男爵の領地にあるダンジョンで消息を絶ったのです
その事をクオール男爵家に相談に行ったのですが慰謝料として結構な金額を頂きました
どうやら侯爵子息がダンジョンで死んだと言うのは体裁が悪く、評判になるとダンジョン経営に影響が出るのだそうです不幸中の幸いというかそのお陰で少し盛り返すことができましたが……その時私に悪魔の囁きが有りました
まだ6人居ると……
4男と6男は優秀ですが5男と7男は優秀では有りません
9男は欠陥品です
後3人ダンジョンで……
5男と7男の件は上手く行きました。やはり腐っても侯爵家
醜聞というのはどこも気にするものです
そこで最後の9男のライトですがこの子は聡明で素直で学校の成績も良くとても良い子なのですがスキルを身に付けることが出来ないと言う欠陥が有ります
やはり冒険者はスキルが重要だと聞きます
今は良くても大成はできないのでしょう
旦那は末っ子という事もあって随分可愛がって凄い装備を与えた様ですが、キッチリ回収して貰います
今回は今1番稼いでいると噂のリセイ子爵家のワルフェアダンジョンにしました
ここは優秀な救護システムがあって滅多に死人が出ないとも噂になって居ます
そんな場所で侯爵子息が不明となれば……
冒険者の手配は済みました
旅立ちの日くらい笑顔で送ってあげましょう
後は報告を待つだけです
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Dランク冒険者ドロールside
俺はドロール
Dランク冒険者だ。
俺のパーティは闇仕事のクランに加入している。
普段は普通に魔物を狩ったりしているがな。
今回の闇の仕事は侯爵子息の殺害だ。
依頼は既に3回目でお得意様になる
実行場所はワルフェアのダンジョンか、方法は前回と同じで魔物の仕業に見せかける事
ワルフェアダンジョンの魔物の分布を確認する
5層に出る巨大角兎、アルミラージが都合が良そうだ
アルミラージの角を手に入れる
この手の物で致命傷を与えるには対象が完全に止まっている必要がある
痺れ薬を飲ませて動きを止める事となった
ガキを連れて最初から5層は疑われるかも知れないので、最初は3層で登録する
なぁに流れで5層に行くように持っていくのは簡単だろう
案の定5層行きの提案を認めやがった。良い子だよな。同情はするぜ、依頼はこなすがな
崖の上丁度良さそうな場所で休憩を提案する。
水筒を一口飲んで手渡す
彼は喜んで口にした
俺は先に解毒剤を飲んでいるんだ
彼の動きが止まる
そこに予定して居た仲間が後ろからアルミラージの角で背中を刺した
アルミラージの角には毒がある
彼はそのまま倒れた
完全に死んだのを俺自身で確認して鎧を剥ぎ剣を取り上げる
このダンジョンでは良い救護システムが有るらしいから念には念を入れる
そして死体を崖から落とした
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とにー




