第51話 油断大敵
「楽しいねぇここ、遊園地みたい。」
春花が嬉しそうに話す
確かにここの敵は様々な種類やギミックがあって飽きさせない
俺はちょっと嫉妬するが、がぶりを振った
何百年も前からある遺跡のダンジョンと作成数ヶ月のダンジョンを比べる方が間違っているだろう
それでも少し遊び心も加えて良いかなとは思って居た
ただ、この状況を楽しいと言える春花の感性や実力が凄いことは確かではあるが
次の魔物はビッグボアだった
一見見た目はちょっと大きめのビッグボアにしか見えない
金属部分も特には見えて居ない、表面には……
しかし、姿が見えたと思った瞬間ビッグボアの側面と前頭部が開いた。
側面からはロケットランチャー、頭からはバルカン砲が出てきてそれを連射する
ビッグボアと言えば基本体当たりと噛みつきしか攻撃手段は無く、超接近戦のみの魔物というイメージが有るがそれを完全に覆される形だ
それだけに一瞬対応が遅れる。
ミサイルとバルカンの両方の直撃を許してしまう
しかし、俺の貼っているシールドはカーバンクルのレベル7のものだ
そう簡単には破れない
イヴは前方に壁を出す
石の壁だ
良い判断だ
この状況の攻撃魔法は魔力集中にリスクがある
壁はすぐ壊されるが一拍の猶予が生まれる
次の瞬間、春花が飛んでいた
綺麗な屈伸の前方宙返りである
バルカンが春花を追いかけるが一瞬の死角のせいで間に合わない
そのまま振った光の剣はビックボアキメラを縦に真っ二つにした
「油断大敵だね」
春花が変わらず明るく笑う
確かにその通りだ
ビックボアのキメラを見た時に一瞬俺は予想してしまった
お尻からジェットエンジンを出して突撃してくる姿を
観念を捨てる。俺はそう思って次の魔物と対峙した
俺達の前に居るのは大きなカマキリ
ビッグマンティスのキメラだ
これ程解りやすく強そうな奴はそうは居ないな
全長2mのカマキリ型キメラ
なんかいくつか突き出てる突起があるし、動きも速そうだ。
「気をつけろ!」
俺が注意を促すが春花は構わず突っ込む
するとカマキリから出ている突起の一つが盾の様に春花の剣を防ごうとする
春花の剣に防御は通用しない
盾ごと真っ二つだと思われたが
光の剣が縦に触れた瞬間、盾が爆発した
リアクティブアーマー
反動で後ろに下がるカマキリはそのまま4本の足で踏ん張ると春花に向かって鎌を下ろしてくる
春花は一瞬躊躇したがその鎌を受けずに横に交わした
カマキリの鎌が振り下ろされた瞬間前方の空間が裂けた
これは次元斬の効果があるな
避けたのは正解だ
そのタイミングでイヴから魔法が飛んだ
『ライトニングシュート』
レベル4魔法だ
極限まで絞った雷撃がリアクティブアーマーの一つを潰す
強い魔法を使うと大きな爆発が起きて視界を潰す。
それを防ぐためのこの魔法だろう
その潰した場所を狙って春花の剣が振り下ろされた
切断されるカマキリの頭と胴
見事なコンビネーションだ
俺は思わず拍手を送るところだった
今日の攻略はこれでタイムアップ
戻ってクスーラゥ達と待ち合わせの場所に向かった
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遺跡ダンジョンは楽しいですね
カマキリは多分このフロア最強です
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにも成りますのでブクマ、評価よろしくお願いします
とにー




