第38話 マルクの冒険③
部屋で色々話し合った結果
今日は5層へ行こうと決まった
無理をするわけでは無いが余裕があるのも確かだ、とりあえず適正な狩場を見つけようと言う結論となった
ダンジョンに着いて5層に向かう
少し前までは4層以降はダンジョンの中を移動して行かなくてはならなかったらしい
便利に成るダンジョンってあるんだな
5層は入り口が5つ
6層の階段に続く扉は無く6層に行くのには5層を通って行かなくてはならないようだ
ただ扉の表示板には下の階層に降りたパーティは表示されないようだ
いつも通り冒険者の1番少ない扉を選ぶ
扉を開けて中に入るとそこは森の中だった
3層、4層と違って5層はオープンフィールドだ
嫌な予感がしたが何もしないで帰るわけもいかない
取り敢えず一当てと魔物を探す
程なくトロルが見つかった
しかし、一目見た時マルクは思った『でかい!』と
ニレージの街の狩場にいるトロルより頭一つ以上デカい
そのトロルがこちらに気がつくと向かってきた
トロルは両手を振り回して殴り掛かってくる
僕はそれを交わすと右手に持つ片手剣を振った
あまり腰は入ってないが剣技レベル2の剣である
そこそこの裂傷を脇腹に与えた
「ギエーーーッ」
叫びながら僕を追いかけるように振り向くトロル
その背中をニースが両手剣で切った
「グアーー」
さらに叫ぶトロル
動きが止まったトロルにアルタが脇腹に槍を突き刺す、さらにトドメの一撃をマルクが与えた
音を立てて倒れるトロル
それをアイテムボックスに入れて僕は言った
「確かに大きかったけど何とかなったね」
こちらにダメージは無かった……と思ったのだがミリィがこちらに走って来る
「大丈夫?マルク、頬に血が出てる、ヒール」
どうやら頬にトロルの拳が掠っていたらしい。血が滲んでいた
「こんなの唾つけておけば治るよ」
「でも私何もしなかったし」
可愛いこと言うミリィだが俺は一つ提案をした
「敵の攻撃力が高いから、短期決戦にしよう。ミリィも構わず攻撃魔法を打って。」
多分5匹くらいで一杯一杯だからそれで撤退しよう
「「「了解」」」
その後トロル、トロル、ワイルドベアと狩って5体目がハイオークだった
ハイオークは槍と盾を持っていて体格に似合わず、割と防御寄りに戦う。普通のオークより少し精悍な顔をした奴だ
槍は牽制に使い、盾を振り回す。
トロルより少し小さいが頭は良さそうだ、ミリィの魔法も盾で防いだ
「ダァ!」
僕が切り掛かるが盾で防がれる
隙を見てニースが切り掛かるが槍のせいで掠めるだけだ
それでも少しづつ削って行ってなんとか成ると思ったその時だった
アルタが終わると思って周りを気にしたのだ、その為にハイオークから目を切った瞬間、ハイオークが槍を投げた
力を込めて投げたわけでは無いのでそれほどの勢いでは無かったが目を切っていたアルタは避けられなかった
ハイオークの槍がアルタの腹に刺さった
「キャー!」
ミリィが叫ぶ
そしてミリィがアルタに駆け寄って来る
そこまで深い傷では無い、ヒールが間に合う。
そんな思いでミリィはアルタに駆け寄った
しかし、まるでその時を待っていたかのように横の草むらから1匹の魔物が飛び出した
ビッグボア
体長80センチのボアより一回り大きい1,5m程の体を持つ魔物だ
その巨体が加速してミリィに迫る
それに気がついた僕が叫ぶ
「させるかぁ!」
僕は全力でミリィの前に入ろうとする
しかし、間に合わなかった
目の前でミリィがビッグボアの体当たりを受ける
体の軽いミリィはピンポン玉のように弾き飛んだ
「うわーーーーっ」
叫んでビッグボアに切り掛かる
ビッグボアに脇腹を噛まれるが頭に剣を突き刺す
後ろを見るとハイオークの盾がニースの顔に刺さり、ニースの両手剣がハイオークを貫いていた
アルタは思ったより傷が深かったようだすでに動かない
「ミリィ、ミリィ!」
僕は蹌踉ながらミリィに近でく
しかし、ミリィはぴくりともしない
抱き寄せるが既に冷たくなっている。体当たりの衝撃か体のあちこちが酷く損傷している
「ミリィ、そんな……」
僕も、だんだん目の前が暗くなって来る
そしてそのまま前のめりに倒れる
「ごめんね。守れなかった…」
僕はそのまま意識を手放した
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とにー




