第308話 魔人兵襲来
トーレス王国は上空から見ると魚の様な形をしている。
そして丁度背鰭の頂点辺りにソーク砦と言う魔人の襲来に対する前線基地がある。
ここで野良魔人が襲撃して来た際に迎撃するのだが野良魔人はCランク冒険者の試験に使われることも有り試験希望者が集まった際はそのまま見逃される。
この砦には結界が施されて居るので野良魔人は皆この砦に気が付かないのだ。
そうして置いて通過方向から襲撃地点を割り出して王都に報告する事も仕事である。
常時であればこの砦に待機するCランク冒険者は一人であるが、魔王が入れ替わったこの時期は二人のCランク冒険者が詰めて居る。
その日はテスターとニクロンと言う二人のCランク冒険者が砦に派遣されていた。
そんな時、砦の展望台からアーティファクトを使用して偵察して居る兵から報告が入る。
「テスター様、ニクロン様、魔人らしき者がこちらに向かってきます。」
それを聞いたテスターが偵察兵に確認する。
「数は?」
「まだ少し遠くて正確には判りませんが三人程だと思われます。」
ニクロンも腕組みをしながら渋い顔で問いかける。
「この砦に向かってきて居るで間違いないのか?」
「はい、進行方向から見るに真っ直ぐこちらに向かって来ています。」
「ふむ、と言う事は野良魔人では無いか……ならば外で迎え撃つしか無いな。」
この砦に気がつくと言うことは野良魔人ではなく魔人兵なのだろう。
だとするとニ対三では少し部が悪い。
それでも二人とも戦闘には自信があるようでそんなことは噯気にも見せない。
二人は砦から出ると魔人と向かい合った。
相手が通常戦力なら砦を利用して防衛する手も有るが攻撃力の高い魔人兵相手では逆に悪手だ。
砦ごと破壊されるのは目に見えて居る。
テスター達が迎え撃つと魔人兵もその前で一度立ち止まる。
そこにテスターが話しかける。
「此処から先はトーレス王国だ。これ以上近づけば攻撃する。」
テスターが放った言葉は単なる最終通告だがもう一つの意味がある。
返事が有るかどうかで、破壊の衝動の有無を確認したのだ。
破壊の衝動に冒されていた場合、まともな会話にならない事は判明していた。
「これは宣戦布告だ。その砦は破壊させてもらう。」
魔人兵の真ん中の男がテスターに答えた。
どうやら破壊の衝動に冒されて居るわけでは無いようだ。
しかしその結果の方がテスター達には悪い結果だ。
しかし、テスターは動じずに即動いた。
テスターの両手には鉄球が握られていた。
それを即座に魔人に向かって投げたのだ。
「交渉決裂だな。なら早速数を減らさせて貰うぜ。」
テスターが放った鉄球はおそらく3キロほど有るだろう。高速で回転しながら魔人兵に迫った。
しかし、距離にして三十メートルは離れて居る事も有り、魔人兵もそれを軽々と避けた。
こんなものが当たるものかとニヤついた魔人兵は今度は攻撃態勢に入る。
そうして接近しようと構えた時、その魔人の背中に激痛が走った。
「ぐぅっ」
呻く魔人兵。
その背中には先程避けたはずの鉄球が突き刺さっていた。
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とにー




