第3話 女の子達
「とりあえず名乗ろう。俺はススムという。」
「私はミーリスです。ススム様。」
「私はクスーラゥよ。」
肩甲骨まで伸ばしたブロンズ色の髪で、クリっとした藍色の瞳を持ち凛とした雰囲気の美少女がミーリス。
青みがかったショートボブで、少し眠たげな眼をして整った顔立ちのこれまた美少女であるクスーラゥ。
15歳の頃の俺なら、多分緊張して何もしゃべれなかっただろうが、最近は年下の部下や水商売の女性の相手などの経験で、女の子に照れることもなくなった。
「ミーリスとクスーラゥね。どうかよろしく。あっ、様付けは要らない。敬語も必要ないよ。」
「はい、よろしく(お願いします)。」
ミーリスは敬語が抜けないようだが、気になったことを聞いてみる。
「君たちは2人だけなの?何か事情があるの?」
2人は顔を見合わせたが、ミーリスが答えてくれた。
「実は………」
彼女たちは、つい最近まで4人組のパーティーだった。
男1人、女3人、同じ村から出てきた幼なじみで男の剣士グリーンがリーダーで、村にいる頃から才能を褒められて、だいぶ有頂天になっていたらしい。
本来ならば、成人してから村を出るはずなのだが、待ちきれず14歳で村を出て冒険者登録をしてしまった。
それでもグリーンは本当に才能があったようで、順調に成果を上げ15歳を待たずにGランクに昇格した。
そこでさらに増長したグリーンは、Cランクの試験を受けると言い出した。
ミーリスたちは止めたようだが、もう1人の前衛の少女ヘレンが賛成した。
2人はわかりやすく付き合っていたのだ。
Cランクが準貴族になることもその時聞いた
グリーンが貴族になれば、ヘレンは玉の輿だと思ったのだろう。
そうして2人は、試験会場のある王都に行ったのだが結果は不合格。
そしてグリーンは、完全に自信を失って、村に帰ってしまったということだ。
実家を継げるグリーンやその妻になろうとするヘレンは良いが、
ミーリスやクスーラゥが村に戻れば、村内か近くの村に嫁がされて農家の嫁となる未来が見えている。
それが嫌でグリーンの誘いに乗ったのだ。
これで戻ったのではグリーンに振り回されすぎである。
「ぶっちゃけ、あいつらイチャイチャしすぎて見てられなかったのよね。」
クスーラゥが口を挟んだ
「それでどうするってことか?先程のやつの誘いじゃダメなのか?」
俺の問いにクスーラゥが答える。
「だめね。あいつは顔は良いけど女癖が悪すぎるわ。下心もミエミエだしね。」
「何かあるたびに身分がとか言い出しますし、Eランクになったのだって優秀なメンバーを選んでもらったおかげですから。」
ミーリスも容赦無い。
「ススムさんが話しかけてくれて助かりました。ススムさんならランクも身分も上ですもの……ところでススムさんのお話というのは?」
「ああ、そうだ。さっきも言った通り、この街に来たばかりなんだが、少し調査が必要でね、ムグの森の案内をしてくれる人を探していたんだ。」
ムグの森はこの街から1時間ほど歩いた場所にある魔物の巣だ。
奥に行くほど強い魔物が出ると言われている。
「ムグの森ならよく狩りで行ってたから案内できます。」
割と喰い気味にミーリスが答える。
「クスーラゥも良いのかい?」
「ん、大丈夫。」
「それじゃあギルドに依頼しておくので、受けてくれ。」
「出発は明日にしよう。明日の朝10時にギルドまで来てくれ。」
俺は依頼のため、受付嬢に話しかけた。
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2日連投になりました
このペースが続けば良いのですが、ちょっと厳しいです
あくまで不定期でよろしくお願いします
ちょっとでもツボに入りましたらブクマよろしくお願いします
とにー