第299話 バトル
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男達は武器を構えるとススムを取り囲んだ。
そしてタイミングを取ると三人の男が叫びながら同時に切り込んでくる。
「「「うらぁ!」」」
一人は上段から一人は突きを試みて、もう一人は剣を横凪にしてくる。
流石に冒険者だけあってゴロツキとは違う。
連携は取れている。
しかしススムは落ち着いて上段の剣を避けると、突いてきた剣を左手で受け流す。
そして横凪の剣の内側に踏み込むとその腹に拳を叩き込んだ。
手加減はしているがススムの拳を腹に受けた男はその場に蹲る。
骨の数本は行っているだろう。
ススムは受け流した男の後頭部にハイキックを見舞うと流れるような連続蹴りを叩き込んだ。
蹴られた男はそのまま他の男達を巻き込んで吹き飛ぶ。
パンチとキック、どちらの方が強いかと言えば当然キックなのだけど、これがそうでも無い。
キックは結構クリーンヒットしないのだ。
手数まで考えればパンチの方が有効だったりする。
ススムの惚れ惚れするコンボを見た他の男達は一瞬怯むが、素手のの相手である。
「くそっ!」
などと喚きながら切り掛かって来る。
既に彼らは頭に血が昇り、痛めつけると言うよりは殺気の方が優先しているまであった。
しかしススムは冷静に対処する。
切り掛かる男の内側に入って背負い投げで前から来る男にぶつけ、横から来る男には裏拳を叩き込む。
多勢に無勢と言うには実力が違いすぎた。
しかも一撃一撃が重いススムの攻撃は喰らったらタフな冒険者と言えどもそう簡単には戦線に復帰できない。
瞬く間に十人ほど戦闘不能になる。
それでもザーギスが怖いのか他の冒険者達は諦めを見せない。
ススムの攻撃が素手のため血を見てないのも意気が落ちない原因かも知れないが、それはススムの狙いでもある。
そこでザーギスは後ろの方に控えていた三人のローブの男に目配せする。
すると男達は呪文を唱え始めた。
それはファイヤーアローの呪文だ。
男達の手から炎の矢がススムに向かって放たれる。
放たれた炎の矢は弓矢とほぼ同じスピード、つまり時速200キロ程の速さで飛来する。
意識外から放たれれば、それは避けようの無いものに思われた。
しかしススムは魔力の高まりから魔法の発動を察知していた為、それは不意打ちとは成らなかった。
そうであればススムにとってその程度の魔法を避けることは容易い。
そして乱戦の中である。味方にも告げずに撃ち込まれたファイヤーアローはススムが避けることにより結局味方に当たる事となった。
突然の魔法攻撃を冒険者達も驚きの反応を示す。
ザーギス達に背を向けていた男達などススム側の救援を心配した程だ。
ファイヤーアローを喰らった男は一撃で吹き飛び焦げ燻る。
その状況に流石にススムを囲んでいた男達は戦闘を躊躇した。
そしてその隙をススムは見逃さない。
ススムは一瞬の集中で三本の雷の矢を作り出した。
トリプルライトニングアロー。
ほぼ無詠唱と言えるほどのスピードで放たれた三本の雷の矢はローブを被った三人の冒険者に直撃した。
威力はかなり絞ってるため即死級では無いとは言え追加効果で麻痺を与えるためローブの男達は戦闘不能となった。
「ちっ、役にたたねぇ奴らだ。」
ザーギスは大声で愚痴ると剣を抜いてススムの前に出てくる。
「しょうがねぇ、俺が相手をしてやんよ。」
そうして構えた剣は態度とは裏腹に様になっている。
流石ミスリル級に届くと言われるだけはあった。
そして……
「貴様は抜かないのか?」
と、剣を持っても居ないススムに向かって言ってくる。
ススムが剣を出せる事などお見通しなのだろう。
確かにススムはアイテムボックスから剣を出すことも出来るし、簡易ではあるが春花の光の剣やミーリアの結界剣などを生成する事も出来る。
しかし、ススムは必要無いとばかりに手首をクイっと手前に曲げて来なさいのポーズをとった。
その態度に舐められたと思ったザーギスはいきなり怒鳴りだす。
「舐めやがって、お前はあの女から俺の事を聞いたんだろ?だがその情報は間違ってんだ!俺はミスリル級なんかじゃねぇ、既にアダマンタイト級だ。この力を貰ったからな。」
するとザーギスの顔に魔人のような模様が現れて頭からツノが生えてくる。
どうやらザーギスは魔人の力を手に入れたようだった。
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とにー




