第289話 vs皇帝②
二人は50メートル四方程会議室の中を飛び回った。
スピードは転移であるススムの方が優っているが余裕は追いかけている皇帝の方にある。
扉は両方とも固く閉じられている。
おそらくパンデモニウムの効果が生きているのだろう。
試しにススムが撃ってみたがびくともしなかった。
このままではジリ貧だ。
ススムに焦りの表情が浮かぶ。
しかし……
皇帝はそれを信用していなかった。
何かを狙っている。
皇帝はススムを見てそう感じていた。
しかしそれが逃げる方法なのか我を倒す方法なのかまでは分からない。
ただ解っている事は……
我を倒すことは不可能だと言う事だ。
我の吸収で防げない攻撃は無い。
どんな威力の攻撃であろうとだ。
そう考えた皇帝は移動攻撃を繰り返しながらススムの狙いを考える。
普通に考えれば援軍であろう。
一定時間連絡が無ければ援軍が来るように要請してあるとすれば時間を稼ぐ意味がある。
確かに後数人覚醒勇者が現れれば此方が不利になるだろう。
しかし、我とパンデモニウムのリンクは完全に切れてはおらん。
細かい操作はできないが周囲に近づく者の様子は分かる。
なので今のところ近付くものは居ないことは分かっている。
物凄いスピードで近づくことも考えられるがそうすぐと言う事はあるまい。
と……
そこまで考えた所でとある事に気がつく。
ススムの転移に法則性が有る事にだ。
ススムの転移は一見完全にランダムに見える。
全く同じ場所には絶対に現れない徹底ぶりだ。
しかし……
そこに不自然性が伴う。
そして、6回に1回四隅に現れる。
しかも……
順番は一定しないが四隅にを全て使うようにしている。
つまり……
三箇所四隅を使った後に次に飛ぶ場所が確定する。
試す価値は有る。
皇帝は考えた。
もし間違えても別に此方が不利になるわけでは無い。
ならば……
そう考えたそのジャンプの際に皇帝はススムの姿が消える瞬間に踵を返して予想していたススムの出現位置に急行する。
すると……
眼前にススムが転移して現れる。
皇帝は焦るススムの両手を掴む。
掴んで仕舞えば転移は出来まい。
皇帝は勝利を確信して吸収を発動した。
出来れば今週最後まで書きます
少しでも面白いと思われましたらモチベーションになりますのブックマークや評価をよろしくお願いします。
感想もぜひお願いします。
とにー




