第288話 vs皇帝①
ススムは無反動砲を連射する。
そのほとんどが皇帝に着弾するがその全てが消え失せる。
全く効いているようには見えない。
「ふはははは、無駄な事をする。」
皇帝は不敵の笑みを見せる。
しかしススムは連射を止めない。
それはまるで皇帝の接近を恐れているようでもある。
ここにくる前にススムは皇帝のスキルについて考察した。
皇帝の吸収は覚醒勇者には通用しない。
通すには相手のスキルを理解する必要があると……。
それは確かにその通りなのだけれど、あくまで吸収の射程、5メートルで使用する場合だ。
皇帝は吸収を非接触の5メートルの距離で使用することが出来る。
故に射撃武器は皇帝には通用しないのだが……
ススムは皇帝がここまで出てきたことでそれだけで無い事を気付いていた。
ススムのスキルを召喚だと思っていることは確定だ。
故にススムを吸収する事は出来ない筈。
だがそれは皇帝も気がついてる可能性は高い。
俺を吸収出来ない可能性を考えたなら俺の眼前に現れるリスクは起こさないだろう。
ならば……
例えそのスキルを理解していなくても覚醒勇者を吸収する手段があると考えるのが当然だ。
ススムはその頭脳で考える。
だとしたら次の条件は?
簡単に思いつくのは距離だ。
距離を詰めることで吸収の効果を上げる?
いや多分接触が必要なのだろう。
その程度のリスクが無ければもう少し多用するだろう。
今皇帝が煽っているのもススムが遠距離攻撃を諦める様に仕向けているのだ。
しかしススムは遠距離攻撃を辞めない。
意味のない行動ではあるのだが、いやそれ故に皇帝は焦れてくる。
ススムの方から接近して来た方が御し易いのだが遂に皇帝は自分から接近しようと考える。
確かに皇帝はどんな物で強引に吸収する方法がある。
その為にはその物を両手で掴み動きを止める必要が有る。
故にススムの攻撃をカウンターで仕掛ける事を狙っていたのだ。
だがここでの遠距離攻撃の連続で皇帝は『ススムは接近戦に自信がないのでは?』と考えてしまった。
確かにススムが接近戦をしたと言うデーターは残っていない。
それならこちらからと思うのは必然だ。
皇帝は弾幕をものともせずに接近を試みる。
覚醒勇者でもある皇帝のスピードはずば抜けている。
30メートルの距離を一瞬で詰めた。
そして銃を構えたススムに掴みかかろうとする。
しかしススムも油断はしていない。
ショートジャンプで反対の壁際まで移動した。
そして銃を連射する。
皇帝の死角からの攻撃なら通用するかもしれないとの狙いではあるがそれは成功しない。
こちらを振り向きもしない皇帝の目前でエネルギー弾は消え去った。
そしてこちらを振り向くと叫んだ。
「無駄だ!アサルトモードの我に死角はない。それに転移で逃げようとしても無駄だぞ。この部屋は重要会議室として転移や通信は出来ないようになっている。」
皇帝は邪悪な笑みを浮かべる。
どうやら接近した時に反撃が無かったことでこちらへの対応能力はないものと判断したようだ。
「さぁ、いつまで逃げられるかな。」
皇帝は両手を開いて構え、ススムに向き直った。
今週中にもう1話上げる予定です
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とにー




