第280話 トリプルクロスカウンター
いつも誤字報告有難うございます。
ボクシングにカウンターと言う技術が有る。
相手の攻撃に合わせて攻撃を放ち相手の勢いを利用するとともに防御技術も減衰させる技だ。
ボクサーの恐ろしく速いパンチにタイミングを合わせると言う難しい技でも有る。
その中の高等テクニックにクロスカウンターと言う技術が有る。
某ボクシング漫画で有名なこの技は相手のパンチにただ合わせるだけではなく、例えば右のパンチならそれに被せるように左のパンチを放ち、相手の勢いを利用するだけではなく防御を完全に無効化するテクニックだ。
放たれた両者の手がクロス状になる事からこの名がつけられている。
これをされるとウェービングや逆の手でブロックと言った技術は使えない。
ただこの技対策の技も作られた。
ダブルクロスカウンターと名付けられたその技は最初のパンチを囮に使い相手のクロスカウンターパンチを自分にパンチごと跳ね除け逆の手でパンチを放つ。
ジュビアが行なったのはまさにこの攻撃と言える。
完全に決まったかに見えたこの攻撃だったが誤算はススムが油断をして居なかったことだ。
ジュビアから放たれたビームは完全にファイルーンを包み込む。
そのエネルギーは10レベル相当にも及び7レベルのシールドでも防げない。
もしそれ以上のレベルのシールドだったとしてもエネルギー圧で突き破ることが出来る。
「やった!」
この様子をモニターで見て居た開発部の皆は歓声を上げる。
ビームの奔流がそのまま減衰せずに帝都内を突き抜ける。
この攻撃で帝都の街並みに一筋のラインが描かれた。
それ程の威力の攻撃だったのだ。
流石のファイルーンもひとたまりも無かった。
周りからはそう見えたのだが……。
ビームの余波が爆煙を巻き起こし周囲が一瞬煙に包まれる。
そうして……。
煙が散り視界が開けた時、ファイルーンはジュビアの後方に居たのだった。
ファイルーンの手には春花の光の剣に似たエネルギーで出来たソードが握られて居た。
そしてそのソードを無慈悲にもジュビアの胴部分に突き刺したのだ。
種を明かせばファイルーンはススムとほぼ同調しているので限定的ではあるがススムのスキルが使える。
ススムが行使したのはショートジャンプだ。
但しこの行動も簡単では無い。
コンマ数秒の判断で行われたものだ。
油断をせずに全ての状況を読み取って居たススムだから出来たことだ。
まさにダブルクロスカウンターに対して更にカウンターを撃つ。
トリプルクロスカウンターの完成だった。
一瞬の溜めをおき爆散するジュビア。
ススムはファイルーンを皇宮の方に向ける。
その時……。
地面が突然出て揺れ出した。
少しでも面白いと思われましたらモチベーションになりますのブックマークや評価をよろしくお願いします。
感想もぜひお願いします。
とにー




