第279話 移動砲台ジュビア
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ちょっと嬉しいですね。
帝宮の前庭で行われるであろう戦い。
傍目から見れば勝敗の決まった戦いに見えるだろう。
しかしススムは油断して居ない。
ススムは帝国軍が無能だとは思って居ない。
その帝国軍がここまでのギミックを講じて登場させたのだ。
そこに全くの勝算が無いとは思えない。
ただ勿論……。
油断なく対処すれば問題になるとは思って居ないのだが。
ススムはファイルーンを着地させるとそのメカを観察した。
すると足元から出ている一本のチューブに気がつく。
成程、このメカはエネルギー供給を皇宮内部から行なっているようだ。
普通この手のアーティファクトは魔石による内蔵装置によるエネルギー供給が一般的だ。
それは全長10メートルあろうとも短時間の稼働なら数個の魔石で対応できる筈である。
ちなみにファイルーンは実はエンジンと言われる装置は付いて居ない。
メタルエネルギーは血管を通している訳ではなく全身の装甲から吸収消費して居る。
故にどこの損傷であろうと即座に復元するし、弱点と言える部分はススムの居るコックピットだけだ。
当然メタルエネルギーはススムの意志をそのまま受け付けるので操作に関してはススムの思った通りに動く。
普通に考えると先制攻撃であっという間に破壊できそうな敵ではあるがススムはエネルギーチューブに注視する。
普通に動かすだけなら魔石で十分の筈の所にエネルギーチューブ……。
つまりそれだけ大容量のエネルギーが必要だと言う事だ。
ここでススムは一つの仮説を立てた。
そこまで理解した上での先制攻撃をススムは選択したのだ。
ファイルーンがエネルギーライフルとレールガンを構えてメカに対して攻撃する。
しかしそれはメカの周りに現れたシールドによって防がれたのだ。
ーーーーーーー
「よし!」
帝国開発部の長が思わず声を上げる。
敵アーティファクトの人型兵器の攻撃を完全に防ぎきったのだ。
これで敵は次に本気の攻撃をしてくるだろう。
そしてそれを防ぎきれればこちらにチャンスが有る。
移動砲台ジュビアと名付けられたその機体はその名の通り厳密には人型兵器とは言えない。
正直帝都防衛用にしか使えないが使うような状況はかなり切迫した事態なのだ。
それでも敵の切り札とも思える兵器を倒すことができれば流れが変わると信じて居た。
確かにファイルーンを、ススムを排除できれば一発逆転なのだが、そこまで分かっている訳では無いのだが……。
ファイルーンは最初の攻撃が効かなかった事で次はメタルスピアを用いた全力攻撃をジュビアに対して行なった。
帝都の結界にさえ穴を開ける攻撃だ。
これにはひとたまりもないと思われたのだが大出力に支えられたジュビアは前方に5重のシールドを展開した。
そしてファイルーンのフルバースト攻撃を防ぎ切ると手足の部分を体の後ろに回してつっかえ棒のように機体を固定する。
そして胴部分の装甲を展開すると本体の7割部分を占めるような砲塔が現れた。
既にエネルギー充電は完了している。
ファイルーンはフルバースト攻撃直後の硬直で反応出来ない。
ジュビアはその砲塔からエネルギーを解き放った。
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とにー




